飯島健太
イランが、国際原子力機関(IAEA)の監視カメラによる核関連施設への査察をめぐり、態度を明確にしていない。双方が同意した録画や映像の保管期限は24日に過ぎた。米国との間接協議が続く核合意の先行きにも不透明感が増している。
イランの外務報道官は28日の定例会見で、「IAEAと同意したカメラの録画データをめぐり、我々は今後の扱いについて決断に至っていない」と述べた。
イランは2月、米国による経済制裁の解除を迫る目的で、IAEAによる抜き打ち査察の受け入れを停止。監視カメラでの録画には同意したが映像の提供は留保し、5月下旬までに制裁が解除されなければ映像を削除すると警告。4月以降、米国と核合意の復活に向けた間接交渉が進み、今月24日までの延長で同意していた。
イランは核不拡散条約(NPT)に基づく包括的保障措置協定は維持しており、事前に申告した核関連施設への査察は受け入れている。
IAEAによると、イラン側に録画映像をめぐる同意を継続するか確認する書簡を送ったが、期限を過ぎた25日になっても回答が来なかった。グロッシ事務局長は同日、「録画装置による監視活動は死活的に重要だ」と強調。イランに早急な対応を求めた。
一方、イラン側は米国に揺さぶりをかける。在ウィーン国際機関代表部大使は26日、「録画は我々の善意によるもので義務ではない」と反論。ガリバフ国会議長は27日、「IAEAに映像は渡さない」と強調した。
イランでは18日の大統領選で、ガリバフ議長ら保守強硬派の支援を受けたライシ司法長官が初当選した。ライシ師は8月の新政権発足に向けてロハニ現政権と協議を重ねており、核合意をめぐる交渉についても報告を受けている。米国との間接交渉は開始から3カ月近くになるが、双方はいまだに、制裁の緩和と核開発の制限をめぐって妥結点を探っている。(飯島健太)
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