「東京五輪はフィリピン代表として出場が確実です」 現地中継のスコアボードでも、笹生の名の横には、日の丸ではなく、フィリピン国旗が記されていた。 結果は、プレーオフ3ホール目に笹生がバーディを奪って勝負あり。授賞セレモニーで司会者は笹生を“フィリピンから初の優勝者”と称えた。 一方、現地では“フィリピン人”に敗れた日本人ということになっていた畑岡は、試合後のインタビューで、ある場面を振り返り、 「止まった場所がアンラッキーだった」 と臍を噛んだ。 それは最終日17番パー5の第2打のこと。2オンを狙うも届かず、ボールはグリーン手前のバンカーの縁の深いラフに留まった。 「第3打は、ゴンと強打しないとラフから出ない。しかも傾斜がきつく、前屈みの難しいショットでした」 とゴルフジャーナリストの舩越園子氏が語る。 「むしろあと一転がりしてバンカーに入ってくれた方が、スピンを掛けられて打ちやすかったでしょう」 結局、3打目はピンを10メートルもオーバー。なんとかパーで凌いだものの、“あと一転がり”でバーディ、ひいては優勝がありえただけに不運というほかない。 「メジャーで勝つには運も必要。マスターズで勝った松山英樹選手もそうでした。でも、今回の畑岡選手にはそれがなかった」(同) 18年全米女子プロもプレーオフで散った畑岡は、19年全英で同い年の渋野日向子に先を越され、今回は後輩の笹生にサシで敗れた。 次のメジャーは今月24日から始まる全米女子プロ。今度こそグッドラック! 「週刊新潮」2021年6月17日号 掲載
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