史上最年少でデナリ(6190m、米アラスカ州)の冬季単独登頂を果たした世界的な登山家、栗秋正寿(48)が、事実上の「引退」を表明した。山を辞める決断をしたきっかけは、2016年の人生初の遭難だった。ずっと恋焦がれてきた冬のアラスカ。「もう命を削る登山はいいかな」と語る栗秋、“アラスカのない”日々をどう過ごしているのか? (全3回の3回目/#1、#2へ)
――2016年に人生初の救助を体験し、2017年は、どうであれ、行くまい、と思っていたのですか。
栗秋 SOSを押したから「はい、終わり」ではないけど、終わりかもしれないとは思っていたので。そもそも、立ち直れていませんでしたしね。救助されて帰ってくるって、こんなにみじめなことなのか、と。周りの人は「元気でよかったやん」って言ってくれるんですけど、(救助で)山から引きはがされて終わりなんて登山じゃないですから。だから、一方で、また戻りたいという思いもありました。まだ山にしがみついていたい、という。でも、心の整理をする意味でも、1、2年はじっとしていようと思っていました。あと、山に残してきた荷物のことばかり考えていましたね。
――それらの荷物は、その後、別の登山者が下してくれたそうですね。
栗秋 ロニー・デュプレという登山家のチームが、その年の5月初旬、50kg程度の装備は下ろしてくれました。ただ、キャンプ3直下に張っていたロープはそのままにしておいたよ、と。60m×4本、240mのロープを張っていたんです。そうしたら、ロニーがその年と、翌年の冬、ハンターに挑戦していました。そういうことか、と。
――そんな「変人」がまた……。でも、ついに栗秋正寿の意思を継いで、冬のハンターに挑戦する後継者が現れたのですね。
栗秋 最近は登っているという情報が入ってこないので、もうあきらめちゃったのかな。でも、もう今は、どうぞやってくれ、という心境ですよ。ただ、ロニーは今年60歳になりますからね。挑戦するだけでもすごいな、と思います。
――栗秋さんは今、48歳ですが、やはり体力の衰えを感じますか。
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