東京六大学野球リーグの法大硬式野球部に所属する学生33人が新型コロナウイルスに感染したことが26日、分かった。今月20日から部活動を停止し、部員全員に自宅待機の措置を講じている。9月11日に開幕する秋季リーグ戦への出場については未定だが、約2週間後に迫っており、出場が危ぶまれる事態に直面している。
開幕まで約2週間。東京六大学野球リーグで早大と並んで最多46度の優勝を誇る法大がクラスターに見舞われた。大学は公式サイト上で、硬式野球部に所属する学生33人が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。
感染対策を講じていても、防げないウイルスの脅威。各大学の野球部員たちは寮生活を送っているだけに、感染拡大のスピードも速かった。川崎市に寮がある法大は22日までに野球部員10人の感染を確認。その後、保健所の調査や検査を受けた結果、24日までに感染者は33人に広がったという。既に20日から野球部は活動を停止し、全部員は自宅待機。予定されていたオープン戦は全て中止となり、保健所の指示に沿って、活動再開の時期を見極める方針だ。加藤重雄監督は「(活動はコロナ)対策に気をつけながらやっていた。今は学生を守ることを第一に考えてやっていく」と話した。
秋季リーグ戦は9月11日に開幕するが、法大は現段階でリーグ戦出場について「未定」としている。1925年(大14)に始まった同リーグで、長期海外遠征などにより6大学がそろわなかった例は過去にあるが、46年以降は6校による対抗戦が続けられてきた。
活動再開時期が見えない中で、リーグ戦に出場できない事態となれば戦後初めてとなる。法大の4年生には、今秋ドラフト候補に挙がる三浦銀二投手、山下輝(ひかる)投手らが在籍している。10月11日のドラフト会議まで、最後のアピールとなる場がなくなる可能性も出てきた。
大学野球界は昨年から続くコロナの影響を受けている。昨春は8月に開催した東京六大学を除くリーグが中止となり、全日本大学野球選手権、明治神宮大会も中止に追い込まれた。今春リーグ戦では東京新大学野球リーグの創価大が出場辞退に。夏の甲子園でも宮崎商と東北学院(宮城)がコロナ感染で出場辞退し、暗い影を落としたばかりだ。法大は9月11日からの開幕週で早大との対戦が予定されている。感染状況を考慮した上での判断となるが、六大学がそろって出場できない窮地に立たされた。
▽秋季リーグ方式 勝ち点制は採用せず、昨秋、今春に続き2回戦制の総当たり。各大学は10試合を戦い、優勝を争う。勝利1ポイント、引き分け0.5ポイント、敗戦0ポイントでポイントが多い大学が優勝し、2校が並んだ場合は優勝決定戦を実施。3校が並んだ場合は優勝預かりとなる。収容人数は政府のイベント開催制限に準じる。
≪マネジャー含め部員140人≫▽法大野球部 創部は1915年(大4)。60年代から頭角を現し、65~68年に在籍した田淵幸一、山本浩二、富田勝のスラッガー3人は「法大3羽ガラス」と呼ばれ、他大学から恐れられた。六大学史上最多の48勝を挙げた山中正竹を擁した69年秋からリーグ戦4連覇を達成。その後、76年春~77年秋も江川卓らの活躍で4連覇を達成した。練習グラウンド、合宿所はいずれも川崎市にあり、部員はマネジャーを含め約140人。
【大学スポーツの主なクラスター】☆創価大 4月26日に野球部員2人の陽性が判明。その後、活動休止としたが、29日までに野球部関係者24人の感染が確認された。野球部寮でのクラスターと認定され、開催中の春季リーグ戦の出場を辞退。それまでは首位を走っていたが、残り3カードが不戦敗となった。
☆日本文理大 今月16日、ラグビー部の下宿先でクラスターが発生したことが明らかに。また、24日には野球部寮で部員14人の感染が確認され、大分県内83例目のクラスターに認定された。他の野球部員については陰性と発表。
☆天理大 昨年8月にラグビー部でクラスターが発生。62人の感染が確認され活動自粛を余儀なくされたが、今年1月の大学選手権では苦難を乗り越え日本一。また今年3月23日から4月16日までに5つの運動部で計62人が感染。学生間の感染拡大を懸念した大学側は、19~25日の1週間、一斉休校の措置を取った。
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