自然と人間との共生を話し合う「生物多様性条約第十五回締約国会議(COP15)」第一部が開かれた雲南省昆明には、植物種子や遺伝子サンプルの保管施設「中国西南野生生物遺伝資源バンク」がある。開発行為や災害による種の絶滅に備えるバックアップとしての役割が期待されており、中国版「ノアの箱舟(はこぶね)」とも呼ばれる。米中対立の激化で、食料を確保する安全保障の観点からも重要性が増す。 (昆明で、坪井千隼)
COP15開幕を翌日に控えた今月十日、昆明市街地の「昆明植物園」では、観光客らが中国国内外から集められた木々や草花を眺めていた。その植物園の一画に、野生生物遺伝資源バンクのビルがひっそりと立っていた。
「この施設は生物多様性保護に重要な役割を担っている。また中国の農業や生命科学、漢方薬など伝統医学の研究に果たす役割も大きい」。同施設の広報担当者は、施設の重要性を強調する。
中国政府は生物多様性保護のため国立公園などの保護区設置を進めるが、それでも野生環境で希少植物が絶滅の危機に瀕した場合、施設に保管された種子が最後のよりどころとなる。
中国唯一の種子・遺伝子サンプルの保管施設として二〇〇七年...
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