Friday, October 29, 2021

【深層リポート】栃木発 搬出へ動き出した農家保管「指定廃棄物」 那須塩原で暫定集約始まる - 産経ニュース

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農家の畑から搬出される農業系指定廃棄物=22日、栃木県那須塩原市(伊沢利幸撮影)
農家の畑から搬出される農業系指定廃棄物=22日、栃木県那須塩原市(伊沢利幸撮影)

東京電力福島第1原発事故で発生し、栃木県の農家で長年一時保管されている放射性物質を含む牧草などの「指定廃棄物」。那須塩原市でこれを暫定集約する作業が始まり、農家負担の軽減に向けた動きが緒に就いた。一方で、県内1カ所に集約する流れに広げるのは、一筋縄とはいかない。

搬出に安堵する農家

今月22日、遮水シートで覆われていた放射性物質を含む牧草や稲わらなど約1・5トンが、酪農業の男性(68)の畑からトラックに積まれ、市ごみ焼却施設へ運ばれた。作業を見つめていた男性は「行政から『来年には片づける』といわれて約10年。諦めていただけにうれしい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

同市内では農家53戸が約1216トンの指定廃棄物を保管している。市は8月末から、市ごみ焼却施設で保管していた焼却灰の指定廃棄物約1700トンのうち放射能濃度が国の基準値を下回った1116トンの処分を開始。農家保管の指定廃棄物も、基準値以下のものは指定を解除し一般ごみとともに焼却される。

男性は「われわれが出したわけではないのに…、悪いものでも抱えているような扱われ方がつらかった」という。

現実路線へ

福島県に近い栃木県北部では原発事故により、畑や牧草地などで放射性物質を含む廃棄物が多数発生した。栃木県内では那須塩原市と那須町など4市2町の農家123戸で、約3千トンが一時保管されている。

環境省は長期管理施設を建設して指定廃棄物を1カ所に集約する方針を打ち出し、平成26年7月に塩谷町を候補地として公表した。しかし、同町は「白紙撤回」を求め、現地調査さえ行われていない。 今年6月、環境省の堀内詔子副大臣(当時)が那須塩原市を訪れ、市内の農家が保管している指定廃棄物を市ごみ焼却施設1カ所に集約してほしいと提案。渡辺美知太郎市長が受け入れる方針を示した。放射能濃度の測定でその8割が国の基準値を下回ったことも現実路線へと舵を切る要因となった。

渡辺市長は「処分場を造るか造らないかという議論は現実的ではない」と述べた。

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