静岡・伊豆ベロドロームでトラック種目が行われ、1日で4種類のレースを走る女子オムニアムで梶原悠未(筑波大院)が銀メダルを獲得した。自転車での日本女子の表彰台は初めて。スクラッチ2着、テンポレース5着、エリミネーション2着でまとめ、総合ポイント2位で迎えたポイントレースで2位を守った。優勝はジェニファー・バレンテ(米)。男子ケイリンの脇本雄太(日本競輪選手会)は準決勝2組5着で決勝に進めず、順位決定戦で7位となった。新田祐大(同)は準々決勝で敗退。ジェーソン・ケニー(英)が連覇を果たした。女子スプリントはケルシー・ミッチェル(カナダ)が金メダル。
最終種目のポイントレースの終盤、有観客の会場に緊張感が走った。梶原が選手と接触して転倒し、走路にたたきつけられた。それでも立ち上がった。破れたジャージーのままレースに復帰し、3位と2ポイント差で銀メダルを死守。「(観客の存在が)苦しい時に背中を押してくれた」と、レース後に涙を浮かべた。
異なる4種目を1日で走るオムニアムは総合力が求められる過酷な競技だ。梶原は最初のスクラッチで2着に入ったが、体力を回復しきれず、テンポレースで得点を伸ばせなかった。メダルを引き寄せたのは3番目のエリミネーション。最後尾が次々に除外されていく種目で、大学の卒論テーマにするほど研究を重ねた戦略と、鍛え上げたスプリント力が生きた。「外側に選手がいない状況を作り、常に自分が出られる位置を確保できるように意識した」。ここで2位に残り、首位のバレンテとは2点差に。最終レースでバレンテをマークしきれずに金は逃したが、日本女子で初めてメダルを獲得する快挙を演じた。
小学生の頃、競泳の北島康介が五輪で活躍する姿をテレビで見て憧れた。1メートル55と小柄だが、自身も競泳で鍛えた心肺能力は抜群だ。高校から自転車を始め、スピードと持久力を武器に台頭。苦手だったエリミネーションも、レースの映像を2000回以上見て研究。海外の男子選手も参考に戦略を練り上げてきた。
24歳の梶原には、この競技を日本でメジャーにしたい夢がある。銀メダルは大きな一歩だ。「率直にとっても悔しい。パリ五輪で金メダルを狙いたい」。新たな挑戦が始まった。(松田陽介)
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