巨人は九回2死までソフトバンク先発ムーアら3投手に「ノーヒット」に封じられ、0―4で完敗。2年連続8度目の日本シリーズ開幕3連敗となり、あっという間に崖っぷちに立たされた。
2連敗で迎えた24日の日本シリーズ第3戦。巨人先発サンチェスが三回に中村晃に2ランを浴びると、第1、2戦で計3得点に終わった打線はこの日も沈黙した。ムーアに七回まで無安打無得点に抑えられ、九回2死から丸が初安打を放つのがやっと。
3連敗で王手をかけられた原辰徳監督(62)は「全員が悔しい思いをしている。結果としてこうなった。今日のうちに反省して、目が覚めたら覚醒していると、なってもらいたいと思います。もう前へ行くしかないわけだから」と淡々と振り返ったが、チームを奈落の底へ落としているのは、指揮官の不可解な采配によるところが大きい。巨人OBで元投手コーチの高橋善正氏がこう指摘するのだ。
「解せませんね。よもや、そんなことはないだろうけど、第1、2戦で力の差を見せつけられて原監督の戦意が喪失してしまったのではないか。思考停止というか、この日の用兵を見ると、そんな気すらしてしまいますね」
1―5、2―13。第1、2戦でまざまざと実力差を見せつけられ、敵地・福岡に乗り込んだ第3戦だった。悪い流れを変えるためにも大幅なメンバー変更の必要性を指摘する声が多く聞かれた。が、フタを開けてみれば、この2戦とメンバーは同じ。前出の高橋氏が続ける。
「変えたのはウィーラーの打順を8番から6番に上げたことだけ。この3戦目は何が何でも取らなければいけない試合。巨人は2試合で3得点。打線が機能していないのは明らかなのに手を打たない。原監督はシーズン中、動きすぎだというくらい打順を変え、スタメンを動かしてきた。それなのに、この大舞台でそれをしない。先取点を取ってゲームの主導権を握ることを考えれば、1番に坂本、2番に丸を起用するなど、初回から相手投手にプレッシャーを与える手もあった。シーズン終盤に離脱して実戦から遠ざかっている亀井をぶっつけ本番で使っているし、全くタイミングの合っていない中島の先発起用にこだわるのも理解に苦しみます」
特定の選手にボコボコ
守っても2戦目までは5番・栗原に8打数7安打とボコボコに打たれ、この日は中村晃に本塁打を含む2安打3打点。巨人バッテリーは特定の選手にやられるケースが目立つ。
「この日もスタメンマスクをかぶった大城の起用にしてもそうです。第1、2戦で18失点。もともとリードに難があり、打撃力を買われている捕手。この日の三回に中村晃に浴びた先制2ランも同じスプリットを3球続けた結果です。短期決戦で配球に問題がある捕手を起用するのはリスクが高い。大城の打撃を買うなら、中島を控えに下げて一塁に起用すればいい。スタメンマスクは、経験豊富で西武時代にソフトバンクと何度も対戦している炭谷。もしくは、シーズンの終盤戦でずっと起用していた岸田はバランスのいい捕手で悪い流れを変えられたはず。いずれにしても、ベンチが何も手を打たないことはチームの雰囲気に影響する。ソフトバンクとの日本シリーズは昨年から7連敗。選手が力の差を目の当たりにして気落ちしているなら、なおさら原監督が積極的に動いて沈鬱ムードを一掃しないといけない。なぜ、それをしないのか。ベンチが戦う姿勢を見せなければ、ファンにも失礼です」(高橋氏)
巨人はこの日の敗戦で、楽天と対戦した2013年の第7戦から日本シリーズ8連敗。球団ワースト、シリーズ連敗記録の「9」に王手がかかった。やはり原監督では、この舞台は勝てないということかもしれない。
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