PCI Express 4.0に対応した、デスクトップ向け第11世代Coreプロセッサ(Rocket Lake-S)の登場によって、Intel環境でも最新のPCIe 4.0 SSDが利用可能となった。
そこで今回は、Rocket Lake-Sが内蔵するPCI Express 4.0と最新鋭PCIe 4.0 SSDを最大限に活用して、Intelの最新環境における最速ストレージの構築に挑戦してみた。
SSDの枚数が増えることで速度がどう変化するのかや、SSDの枚数が増える事でのメリットなども考えてみたので、高速ストレージに興味のあるユーザーはチェックしてもらいたい。
Core i7-11700K + Intel Z590チップセットマザーで最高速を引出す
8枚のPCIe 4.0 SSDを搭載したHighPoint SSD7540をテストするのは、Rocket Lake-Sベースの8コア16スレッドCPU「Core i7-11700K」と、「ASUS TUF GAMING Z590-PLUS WIFI」を組み合わせたIntel Z590環境。
Rocket Lake-Sを搭載したIntel Z590環境では、CPU内蔵のPCI ExpressがGen 4に対応しており、ビデオカード接続用のPCI Express x16スロットや、CPU直結のM.2スロットでPCI Express 4.0が利用できる。
PCI Express 4.0 x16スロットにHighPoint SSD7540を搭載する都合上、GPUについてはCPU内蔵のIntel UHD Graphics 750を使用している。その他の機材は以下の通り。
最速のRAID 0構成で、リード最大26.5GB/s・ライト最大27GB/sを達成これがIntel Z590環境の最速ストレージだ!
まずは、HighPoint SSD7540に搭載した8枚のSamsung SSD 980 PROでRAID 0を構築したさいのパフォーマンスから見てみよう。
CrystalDiskMarkを実行した結果、シーケンシャルアクセス性能を測定するSEQ1M Q8T1において、リード最大26,493MB/s(約26.5GB/s)、ライト最大26,985MB/s(約27GB/s)という速度を記録した。HighPoint SSD7540の最大速度である28GB/sより多少低い数値ではあるが、PCIe 4.0 x16対応RAIDカードならではの速度を実現することができている。
SSD×8枚RAIDに意味はある?枚数を増やせばSSD1枚あたりの転送速度やSLCキャッシュ容量で有利に
ベンチマークの速度を見ると、SSD×4枚あたりまでが速度が大きく伸びるので、それ以上は無駄な部分が多いと思うかもしれないが、実際にクリエイター用途などで使用する場合はシーケンシャルアクセスの速度が上限値に近くなっても、さらにSSDの枚数を増やす意味がある。
RAIDカードやインターフェイス速度の限界に近づくことで、SSDの枚数が増えても最大転送速度の上昇は緩やかになっているが、枚数を増やすことでSSD1枚あたりの負荷は減少し、SSDが利用できるSLCキャッシュ(Intelligent TurboWrite)の容量が増加するため、連続したアクセスでもパフォーマンスを維持しやすいというメリットがある。
例えば、7枚構成と8枚構成のライト速度は1GB/s弱しか違わないが、7枚構成ではSSD1枚あたりのにかかるライトの負荷は約3.72GB/sであるのに対し、8枚構成では約3.37GB/sであり、1枚あたりに負荷としてかかる書き込み速度は10%ほど減少している。くわえて、SSDの枚数が7枚から8枚に増えるということは、SLCキャッシュ容量も14%増加することになる。980 PROの場合、2TBモデルであればSLCキャッシュは最大222GBとされており、8枚であれば最大で1,776GBの高速な領域が活用できる。
これらの変化は、最大性能を連続で発揮できる時間をより長くするものであり、複数の動画ソースに同時アクセスが発生する動画編集や、そうした用途で使用する大容量ファイルの移動やコピーにおいて、よりよいパフォーマンスが期待できるというわけだ。
また、4Kや8Kの動画は非常の容量が大きい。SSD上に複数の動画データや素材のデータを展開して作業した場合、その容量は数TBにもなることがある。2TBのSSDで容量が足りない場合、複数枚のSSDをRAID 0で束ね、容量が足りない分を補う運用もできる。980 PROは現在2TBモデルが最大容量となっているが、将来4TBモデルなどが登場した場合、SSD×8枚をRAID 0で束ねることで、32TBの超高速領域を構築することも可能になる。速度だけでなく、容量面の問題を解決するのにもRAIDは活用できる。
PCIe 4.0対応で最速級ストレージを使えるようになったIntel今後登場するXeonやハイエンドプラットフォームのPCIe 4.0対応にも期待
今回のテストで、PCI Express 4.0に対応したRocket Lake-Sなら、PCIe 4.0 x16接続のRAIDカードを用いることで、25GB/sを超える超高速ストレージ構築できることが確認できた。超高速ストレージの構築に興味のあるパワーユーザーにとっては、Intel環境という新たな選択肢が増えたことになる。
とはいえ、Rocket Lake-SでHighPoint SSD7540の性能をフル活用するためには、ビデオカード用に提供されているPCI Express 4.0 x16スロットを明け渡さなくてはならないため、GPU性能とストレージ性能どちらも最高といった構成にはできない。現実的にはPCIe 4.0 x8接続(16GB/s)での利用が妥当なところだろう。
Intelは、次世代データセンター向けCPUである第3世代Xeon SP(Ice Lake-SP)が、64レーンのPCI Express 4.0を内蔵することを明らかにしており、今後はメニーコアCPUでもPCI Express 4.0が利用できるようになる。この流れがハイエンドデスクトップ(HEDT)にも波及して、RAIDカードとビデオカードをフルレーンで使える動画編集用ワークステーションの自作が可能になる未来に期待したい。
[制作協力:Samsung]
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