自筆の遺言を法務局で保管できる「自筆証書遺言書保管制度」が導入されてから7月で1年となった。遺言を紛失や改ざんから守れることなどが利点だが、山形県内で今年6月までに利用されたのは131件にとどまっている。制度の周知が課題で、山形地方法務局は「まずは制度を知ってほしい」と話す。【山下俊輔】
遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類がある。自筆証書遺言は、遺言者が内容や日付、署名を自筆で書き、押印して作る。手軽な半面、遺言者が亡くなった後、遺書が見つからなかったり、相続人らに改ざんされたりするなどの恐れがある。
所有者不明の土地が社会問題化する中、政府は2020年7月、相続登記を促進したり、相続を巡る紛争を防いだりする目的で同制度を導入。自筆遺言を、遺言者の住所や本籍などがある法務局や地方法務局に保管でき、遺言の存在は遺言者の死後、あらかじめ指定された相続人らに通知される。
法律の専門家である公証人が作成し、公証役場で保管される公正証書遺言に比べ、費用が安いのも利点だ。一方で、遺言者本人が直接法務局へ出向く必要があり、公証役場とは異なり遺書の内容についての助言はできない仕組みだという。
山形地方法務局によると、制度が導入された昨年7月10日から今年6月末に、全国で同制度を利用し、遺言が保管されたケースは2万849件だが、県内では131件にとどまる。導入直後こそ、同法務局に問い合わせがあったものの、日を追うごとに少なくなったという。
同法務局供託課の池田裕樹課長は「手軽で自由度の高い自筆証書遺言の特徴を生かす一方、紛失や改ざんを防ぐため法務局で適正に管理できる安全、確実な制度になっているので、ぜひ利用してほしい」と話している。
からの記事と詳細 ( 「手軽で安全」自筆遺言保管制度 相続紛争を回避、周知が課題 - 毎日新聞 - 毎日新聞 )
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