郡山市は、資料として価値が高い公文書の適正な保管に向け、選別の方法や保管期限に関する指針作りに着手した。「どこにどのような資料があるのか正直分からない」という状況からのスタートになるが、有識者の意見を交えて適切なルール作りを目指す。県内には、東日本大震災への対応を含めた膨大な公文書の扱いに頭を悩ませている自治体もあり、郡山市の取り組みが先例となる可能性もある。
13日午前の郡山市役所。指針作りに向けオンラインを交えて開かれた有識者懇談会の初会合には、国立公文書館の専門官や大学教授、宮内庁書陵部の研究官などそうそうたる顔ぶれが並んだ。市側が2023年度中に指針を完成させたい意向を伝えると、委員6人はそれぞれの立場での協力を約束した。だが、ここに至るまでには担当部署の苦労があった。
同市は、耐震性の問題で取り壊しとなる市歴史資料館の後継施設として、市歴史情報・公文書館(仮称)をつくることにした。24年開館を見込む新施設では、東日本大震災や東日本台風(台風19号)、新型コロナウイルス感染症などへの対応を記した資料の公開を想定する。そのために、後世に正しく教訓と歴史を引き継ぐことができるよう、膨大な公文書を分類、整理する必要が出てきたのだ。
「市にそのような専門知識を持つ職員はいない。誰か有識者に頼まなければ」。しかし、前例のない作業で、確かな当てはなかった。中央省庁出身の品川萬里市長の人脈をたどったり、郡山市出身の県外在住者の協力を得たりして、有識者の選定にこぎつけた。
同市は、他の自治体と同様に公文書の保管期限を内容に応じて1年、3年、5年、10年、永年と定めている。しかし、実際の取り扱いは各部局によって対応が分かれて統一されてはいなかった。
市は有識者の意見を踏まえながら、全庁的な「公文書等管理指針」と、新たな公文書館に収蔵するような文書の取り扱いを定める「歴史的公文書評価選別基準」を作る方向だ。場合によっては、条例の制定も視野に入れる。
将来的には、市歴史情報・公文書館に公文書の価値を判断する専門職員「アーキビスト」の配置も検討する。市の担当者は「有識者の声を基に基準を整備し、展示する公文書の選定に生かしていく」としている。
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