東京電力福島第1原発事故に伴い県内各地に設けられた「仮置き場」を巡り、本年度末に23カ所を除き、保管してある除染土壌の中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)への運び出しが完了する見通しになったことが28日までに、環境省への取材で分かった。23カ所は全て帰還困難区域に指定されている地域にあり、本県の環境回復は原発事故から10年半余りを経て一つの区切りを迎える。
政府は、県内の仮置き場について「2021年度末までに、県内に仮置きされている除去土壌等(帰還困難区域のものを除く)の概(おおむ)ね搬入完了を目指す」ことを目標としてきた。しかし、これまでは帰還困難区域の内外を分けて公表しておらず、福島民友新聞社の取材に初めて明らかにした。
環境省や県などによると、天候の悪化などで輸送計画に大幅な変更が生じない限り、帰還困難区域の外で土壌を管理している136カ所の仮置き場からの運び出しは終了する。ただ、帰還困難区域外にある政府の直轄除染の仮置き場の一部には、県内のため池の底などから取り除いた、放射性物質を含む土壌なども保管されている。
ため池の土壌は、除染を規定した特措法の枠組みとは別枠で取り除かれた経緯がある。このため、環境省は、これらの土壌が年度末に仮置き場に残されていても「概ね搬入完了」の目標は達成するとしている。仮置き場の原状回復、地権者への返還を果たすには、これらの土壌の処分方法の確定が課題となってくる。
また、市町村除染の場合には「現場保管」の問題がある。現場保管とは、仮置き場に運び込む前に住宅や公園に一時的な措置として除染土壌などを取り置いた対応だったが、現在でも4324カ所残されている。
これらの土壌は、政府が掲げる年度末の「概ね搬入完了」の範囲に含まれている。しかし、県によると約800カ所では地権者が分からなくなったり、埋めた後にコンクリートで舗装したりしたため本年度末までに仮置き場に持ち込むことが難しい状況という。
県除染対策課は「解消に向けて政府とともに努力しているが、個別の事情もあり(現場保管から掘り出した)土壌を仮置き場に持って行くのか、それとも中間貯蔵施設に持ち込むかは決まっていない」とする。年度末が迫る中、政府と県には、現場保管を解消する道筋についても明らかにすることが求められる。
仮置き場 除染で出た土壌などを大型の土のう(フレコンバッグ)に詰め、中間貯蔵施設に運び出すまで保管する場所。政府が行った直轄除染と、市町村による市町村除染でそれぞれ仮置き場が設けられた。県内では最大1373カ所に設けられた。
からの記事と詳細 ( 仮置き場搬出、21年度内完了へ 帰還困難区域内23カ所除き - 福島民友 )
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