日本ヒューレット・パッカード合同会社(HPE)は17日、ストレージ新製品「HPE Alletra Storage MP」と、同ハードウェアをベースとしたブロックストレージサービスとなる「HPE GreenLake for Block Storage」、およびファイルストレージサービスの「HPE GreenLake for File Storage」を発表した。
HPE Alletra Storage MPの「MP」は、マルチプロトコルの略称。従来のストレージでは、別々のハードウェア、アーキテクチャ、OSを搭載していたが、「これからはコンピュートノードとストレージノードを分離し、ハードウェアプラットフォームを共通化する」と、日本ヒューレット・パッカード データサービス事業統括本部 ストレージ製品本部 本部長の尹成大氏は同社の戦略について述べた。
HPE Alletra Storage MPは、標準のビルディングブロックとして、HPE Alletra Storage MPのシャーシと、100GbE RoCEv2対応のHPEネットワークスイッチを用意。そこに「積み木のように部品を組み合わせてストレージシステムを構築する」と、日本ヒューレット・パッカード ストレージ製品本部 製品部 兼 HPE Ezmeral事業部 カテゴリーマネージャーの加藤茂樹氏は説明する。
筐体は2Uで、コンピュートにもJBOF(Just a Bunch of Flash)にもなる。また、HPE Alletra Storage MPはすべてのノードがすべてのドライブにアクセス可能なアーキテクチャのため、これまで以上の可用性と拡張性を備えているという。
同ストレージでプラットフォームを共通化することで、「ブロックOSを搭載すればブロックストレージ、ファイルOSを搭載すればファイルストレージとして活用でき、共通のハードウェアを使いながらも異なる種類のストレージとして稼働させることが可能だ。今後HPEでは、このコンセプトをベースとした製品を開発していく」と加藤氏。今回同時に発表したHPE GreenLake for Block StorageとHPE GreenLake for File Storageも、このコンセプトによって生まれたサービスだ。
HPE GreenLake for Block Storageは、HPE Alletra Storage MPに、HPが知的財産を持つOSをベースとしたHPE GreenLake for Block Storage OSを搭載したもの。ミッションクリティカルなアプリケーション向けで、100%のデータ可用性保証をリリース当初から展開する。独立分散型スケールアウトストレージのためコンピュートとストレージを個別に拡張でき、不必要な投資の抑制も可能だ。
HPE GreenLake for File Storageは、データ集約型のワークロードを強化したエンタープライズグレードのスケールアウトストレージ。OSは、VAST DataからOEM提供されたソフトウェアをベースに、HPE GreenLake for File Storage OSとしてカスタマイズしたものを搭載した。「VAST Dataの製品は規模が大きくなりがちだが、HPEと組むことで適応領域が広がる」と加藤氏は述べている。
HPEでは、これまでファイルストレージのポートフォリオが限られており、「HPE StoreEasy」をメインとして提供するほかはソリューションパートナーによるものが中心だった。それがHPE GreenLake for File Storageにより、「ミッドレンジから大規模領域まで、幅広い領域がカバーできるようなった」(加藤氏)としている。
なお尹氏は、HPE GreenLake for Block ServiceとHPE GreenLake for File Storageの提供方式について、「これまでは、買い切り型のCAPEX(資本的支出)モデルと、リースによるOPEX(運営費)モデル、そしてHPE GreenLakeクラウドサービスとしてOPEXモデルで提供する3つの方式があったが、HPE GreenLake for Block ServiceおよびHPE GreenLake for File Storageはその中間となる位置づけだ」と説明する。
従来のGreenLakeとの違いについては、「(新サービスは)インフラやサービスを一元管理できるHPE Data Services Cloud Console(DSCC)上でサービスを選択し、SLAを定義するだけで利用可能。性能や可用性、利用期間を選択すると、ハードウェアが届くという構築サービスを提供する」としている。
初期リリースでは、通常購入とリースでの受注を6月1日より開始する。月額でのOPEXモデルは2023年下半期に対応する予定。また、将来的にはブロックストレージとファイルストレージに加え、オブジェクトストレージも発表する予定だという。
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