Monday, March 6, 2023

五百羅漢図の「幻の一幅」、ロシアのエルミタージュ美術館で保管 ... - 読売新聞オンライン

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 京都を代表する禅寺・東福寺(京都市東山区)に伝わる重要文化財「五百羅漢図」で、元の全50幅のうち所在不明となっていた“幻の一幅”が、ロシア・サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館に保管されていることがわかった。

 東京国立博物館(東京・上野公園)で7日に開幕する特別展「東福寺」(読売新聞社など主催)の準備調査の過程で、同館の高橋真作研究員が確認した。特別展(展示替えあり)には50幅目の復元図が展示される。

 五百羅漢図は、雪舟とも並び称された室町時代の絵仏師・ 吉山きっさん明兆みんちょう (1352~1431年)が、3年以上かけて羅漢(釈迦の弟子)を描いた全50幅の大作。現在、東福寺が江戸時代の補作2幅を含む47幅、根津美術館(東京都港区)が2幅を所蔵する。50幅目にあたる明兆作の1幅は、所在不明で欠落したままだった。

 高橋研究員は今回の調査で、20世紀初めに50幅目が日本の収集家を経てドイツのベルリン国立アジア美術館に渡り、第2次世界大戦中に旧ソ連軍に接収され、所在不明となったと記した2019年の中国人研究者の論文に注目。羅漢が竜の目を治療する図像の古写真も掲載されていたという。

 ベルリンに問い合わせたところ、ドイツの美術雑誌に、00年の段階でエルミタージュ美術館が保管している、との記事が掲載されたことがあったと判明。同館に照会し、先月、図像写真の提供を受け、実物と確認した。

 東福寺は08年から47幅の修理事業を行い、昨年完了。50幅目も下絵を基に、他の図を参照して着色・復元した。高橋研究員は「50幅目の再発見は、明兆の絵画様式や全体構想を考えるうえで大きな意義がある。いつか日本への里帰りを実現させたい」と話している。特別展は10月に京都国立博物館に巡回する。

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