89スイング中9発の柵越えでパワーアピール
無観客の「かりゆしホテルズボールパーク宜野座」には甲子園球場とは真逆のレフトからライトへの“浜風”が吹いていた。午後のフリー打撃。4球団が競合したゴールデンルーキーの9スイング目だった。右の打撃投手が投じた低めのボールを豪快にすくい上げる。長い滞空時間。逆方向への打球が、逆風を切り裂いて伸びた。両翼98メートルの左中間フェンスに張り付いていたカメラマンの頭の上を超えていく。さらに度肝を抜いたのは30球目。少し外寄りの甘いボールを捉えた打球はバックスクリーンを直撃したのである。 矢野監督が見守り、緊張するはずのプロ初のフリー打撃で佐藤は、2人の打撃投手とマシンを合わせ計89スイングして9本の柵越えをマークした。しかも、その打球はレフト方向2本、センター方向3本、ライト方向4本と広角に打ち分けた。 アマチュア球界ナンバーワン野手、超スラッガー…の評判に恥じない“お披露目“だった。 日本球界にも、ジワジワと浸透し始めているフライボール打法とも言える強烈なアッパースイング。インパクトの瞬間に、右足の踵を回し、そのつま先が浮いてピッチャー側を向くフォームも、187センチ、94キロの堂々たる体格も、ソフトバンクの主砲、ギータに重なる。ネット上では、メジャーの“レジェンド”ケン・グリフィーJrに似ているという声もあった。なるほど、そういわれればバットを構える際のグリップの位置や、体の回転のさせ方が似ていないこともない。 たった1日のフリー打撃だけですべてを判断しようとするのは、メディアの悪い癖なのかもしれないが、昨年まで阪神の2軍チーフコーチを務め、計7年タテジマのユニホームを着ていた評論家の高代延博氏(66)に分析をお願いした。
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