第93回選抜高校野球大会は第10日の31日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で準決勝が行われ、東海大相模(神奈川)が天理(奈良)を2―0で破り、2回目の優勝を果たした第83回大会(2011年)以来5回目の決勝進出を果たした。
東海大相模の先発左腕・石田の直球の伸びが、相手の想像を上回った。無四球、15奪三振の付け入るすきのない完封劇。左腕が試合の支配者となった。
一回2死一塁。相手は、ポイントになる打者として警戒していた4番の瀬。初球に投じたのは「一番良かった」という直球だ。内角高めで見逃しストライクを奪うと、その後も内角攻めを貫いて空振り三振に仕留めた。
瀬は石田の武器である直球に狙いを絞っていた。だが、初球をなぜか見逃した。球速は131キロと数字だけ見れば決して速くはなかったのにもかかわらずだ。「いきなりすごい球が来て、凡打になると思った。手が出なかった」と、そのキレに驚きを隠さなかった。
その後も、石田は直球でどんどん押し込んだ。他の打者も慎重に見極めようとファーストストライクの直球を見逃すケースが増えた。カウントが有利になれば、東海大相模バッテリーの思うつぼ。直球がストライクゾーンから外れても、追い込まれた相手が空振りをしてくれる。「投手で一番格好いい」と語る奪三振を重ねた。
配球面でも主導権を握った。中盤までは直球とスライダー主体の配球だったが「少しずつ直球が合ってきた」と捕手の小島が判断。徐々にチェンジアップを多用し、さらに相手を術中にはめた。
終わってみれば122球での2試合連続完封だ。今大会はリリーフだった1、2回戦を含め全4試合に登板し、26回でいまだ失点ゼロ。「力み無く、しっかり腕が振れた。決勝も投げられると思う」。エースは力強く胸を張った。【岸本悠】
決勝戦もライブ中継
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