本来は相容れない関係だった。それでも鹿島は恋焦がれ、ザーゴを求めた。恋い焦がれたのは、ザーゴその人でもあるし、変革という自身に向けられたものでもある。どんなに強く想ってもかなわない想いがあるのは、恋愛の真理だ。両者の関係は、それに似ている。 ■【動画】2点差を追いつかれた「ザーゴ鹿島」最後の一戦■ まず鹿島から見れば、求めていたのは「ルールに乗っ取った強さ作り」だ。それは、“鹿島らしさ”から脱却するという、自己否定も含む。“鹿島らしさ”という「美辞」は、実に曖昧で、勝負強さ、とも、しぶとさ、とも表現されるが、突き詰めれば“特定の個人のメンタリティに依存すること”でもある。 近年、主力選手が早々に海外移籍してはそのたびにチーム作りの修正を迫られる状況が続いており、「人よりルール」を軸に据えようという考えは至極当然な流れだろう。そんな中で白羽の矢を立てたのが、ザーゴだった。 そのザーゴがどんな人物か、というのは、実は分かりにくい。ストーミングを看板とするレッドブルグループの一員である一方で、彼個人が求めるのはポジショナルなプレーであったりもする。レッドブルグループは、攻守における迅速な切り替えを主軸にする。高い位置でプレスを掛け、ボールを保持すればとたんに縦を狙う。日本のピッチで表現したサッカーは、そのどちらをも想起させるもので、そんな“ミステリー”が鹿島の恋募を大きくしたと言えなくもない。
■「かつてつきあっていた“彼女”のことを知ろうと思わないのは当然のこと」
自己否定を覚悟した鹿島と、ミステリーを整理しなくて良いザーゴ。両者がともに歩んだ2020年シーズンは、徐々に歯車がかみ合い、5位でフィニッシュした。だから、2年目のシーズンに期待を大きく抱くのは自然なことだ。しかし、ここまで8戦して2勝2分4敗。順位は15位。目標としていた首位からは遠い。よくいえば“鹿島らしいスロースタート”で、悪くいえば“積み上げなきスタート”だった。 ただ、その勝てなさに、「鹿島らしさがなかった」といわれる。とはいえ、鹿島はそれをなくしてでも、変革を求めていた。まさか、“元カレの良いところはそのままに、別な良い部分だけ積み上げて”などという都合のいい恋愛があるわけがない。 今年、セレッソ大阪の指揮官に再就任したレヴィー・クルピ監督が、昨年までセレッソを率いていたロティーナ監督が指揮を執る清水エスパルスとの対戦前に、こう話していたのを思い出した。 「“元カノ”ではないが、かつてつきあっていた“彼女”のことを知ろうと思わないのは当然のこと」 鹿島が新たに監督としたのは、相馬直樹だ。ある意味、“昔の男”に戻ったことになる。出血を押さえるために、内情をよく知る人物にしたと言えば聞こえはいいが、現実的には過去を求めたことになる。“相馬アントラーズ”が、逆襲に転じるかどうかはまだ分からない。肯定する要素も否定する要素もある。
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