Tuesday, March 24, 2020

【そろそろ履き替え時期到来】スタッドレスタイヤを長持ちさせる保管のテク | 自動車情報誌「ベストカー」 - ベストカーWeb

 2020年3月初旬に東京でも雪がちらついたが、積もるほどではなかった。BC編集部のある関東平野部では桜の花も開き始め、非降雪地域ではそろそろスタッドレスタイヤから、夏用タイヤへの交換時期がやってくる。

 最新のスタッドレスタイヤは、きちんと保管していれば何シーズンかは大丈夫と言われているが、どう扱うのがベストか? については詳しくない……という人も多いのではないだろうか。

 そこで今回は、お財布にも優しいカーライフのために、どのように保管しておけばスタッドレスタイヤを長持ちさせられるのか? タイヤに詳しい自動車評論家の斎藤聡氏にそのポイントを解説してもらう。

文/斎藤聡
写真/ Adobe Stock

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■スタッドレスを長持ちさせるために気を付けたい運転

 スタッドレスタイヤは何年くらい使えるんでしょう? という質問を時々受けることがある。意地悪な答えではなく本当に1年から5年くらいの幅があるので、ひと口にはこたえられない。

 例えば、年間1万km走る人が普通に走ったら……と聞かれても、普通の走り方がまったく想像つきません。

 例えばこんなことがありました。我が家のミニバンの磨耗が妙に激しいのです。3シーズン目に入ったところなので、相応に摩耗もしているのですが、それにしてもショルダー部の磨耗が激しく、サイプもめくれ上がり気味になっています。運転するのは家内と私。

 オマエが激しく走ったのだろう。普通そう思うでしょう。でも違ったのです。

 家内の運転を観察してみると、交差点やカーブでスピードをしっかり落とした運転をしています。これはいいのですが、スピードを落としたためにカーブの半ばあたりからアクセルを踏んでいたのです。まだハンドルを深く切ってクルマが曲がっている状態で、アクセルを踏んで加速をしていたんです。

 実はこの走り方は、タイヤのショルダーにすごく負担がかかります。そしていったん摩耗させてしまうと、カーブで踏ん張りが効きにくくなるので、どんどん曲がりにくくなっていきます。当然ハンドルを切る量が増え、タイヤの磨耗はより激しくなっていきます。

サマータイヤに比べてコンパウンドの柔らかいスタッドレスタイヤは、ショルダー部分が削れやすい。最近のスタッドレスタイヤは耐摩耗性が向上したとはいえ、長持ちさせたいと考えれば、丁寧なドライビングが求められる

 スタッドレスタイヤを履いているのにサマータイヤの感覚で曲がってしまい、(スタッドレスタイヤにとって)オーバースピードになってタイヤに負担をかけてしまう。そんな走り方をしている人もよく見かけます。本人はタイヤに負担をかけていると思っていなくても、実はかなり負担がかかっていることも少なくないんです。

 要は、使用した年月だけでなくタイヤの使い方、走らせ方を合わせて考えないと、いくらタイヤの保管方法を気遣っても効果は薄いんです。

 ちなみに走らせ方ですが、ちょっとだけ柔らかなタイヤの表面を意識しながら走ってやるだけで、タイヤ傷みは抑えられます。具体的には、タイヤのショルダー部やブロックのエッジが激しく摩耗しないように、少しだけ優しく加速し、ブレーキをかけ、ちょっとだけスピードを落としてカーブを曲がってやり、カーブの立ち上がりではハンドルを戻しながらアクセルも踏み込んでいくようにすると、効果があります。

■お財布にやさしく! 大切なタイヤを上手に保管するためのポイント

 そんな具合にタイヤ自体の性能を落とさないようにしたうえで、タイヤの保管をどうするか、ということになります。

 タイヤは上手く保管してあげれば、3~4年はゴムの性能低下を抑えることができるのだそうです。どうやったら、タイヤの性能低下を抑えることができるのでしょうか。

 まずよく言われているのは、[1]直射日光を避けて暗くて涼しいところに保管することです。紫外線はゴムを硬化させてしまうので、できるだけ直射日光を避けて保管します。できれば屋内での保管がベストです。屋外の場合は直射日光のほかにも雨や窒素酸化物、粉じんなどにタイヤ表面がさらされゴムが傷む原因になります。

 保管の仕方は、まず[2]汚れや油脂類を洗い落すことです。冬場は融雪剤や凍結防止剤として塩化カルシウムや塩化ナトリウムなど使われています(最近は尿素も)。これはホイールの錆の原因になりますし、ゴムを傷める要因にもなります。

洗う時は車体から外して状態で行うと、すみずみまできれいにすることができる。ガソリンスタンドなどで交換してもらう人も、このひと手間でタイヤを長持ちさせることができる

 また、意外かもしれませんがタイヤワックスは、タイヤのゴムを保護するどころか、ゴムを劣化させひび割れの原因になります。またブレーキの粉もホイールやタイヤ側面に付着していますから、これらをしっかり洗い流してやることが大切です。

 きれいに水洗いし水分をふき取ったら、[3]空気を抜いて平積みにします。タイヤに充填した空気を抜くことで、タイヤの緊張をとるのが目的のようです。

 目安は空気圧の半分くらいといわれています。立てて保管するのが推奨しないのは、フラットスポットといって、タイヤを長く立てて置いた時に、接地している部分が平らに変形してしまうからです。一カ所に長時間負担がかかっているのもタイヤに取って好ましいことではありません。

 ただし、ホイールから外して保管する場合はタイヤの負担が少ないので、立てて保管するほうがタイヤの負担が少ないので、横積みよりもいいです。その際は、定期的にタイヤを回転させてやるとさらにいいようです。

基本的には平積みがベストといえるが、スペース的に立てての保管しか難しい場合は、定期的にタイヤを回して、フラットスポットができないように心がけたい

 それから、タイヤを1本1本ビニール袋に入れ密封して保管するのは好ましくありません。風通しが悪く、どうしても中で湿気を帯びてしまいます。湿気もタイヤに取っては性能を低下させる要因になるので、ある程度風通しがよいほうが好ましいようです。

屋外でビニールに入れて保管している人もいると思うが、湿気が劣化を早めるタイヤにとっては厳しい。紫外線から守れるカバーをかけ、風通しの良い日陰で保管してもらいたい

 ただ、屋外で保管する時は、裸で横積みにしておくと、直射日光や、ホコリ、雨などにさらされ、タイヤを激しく傷めてしまうので、レジャーシートなどでタイヤ全体を包み、日差しやほこり、雨を避けて保管するのがいいでしょう。
まとめると、

[1]直射日光を避けて暗くて涼しいところに保管
[2]汚れや油脂類を洗い落す
[3]空気を抜いて平積み

の3点がタイヤの性能を落とさずに保管するための要点となります。

 結局のところ、いくら大切に保管しても走らせ方でタイヤを傷めてしまうと氷雪性能は大きく落ちてしまいます。タイヤに負担をかけすぎないように上手に走っても保管の仕方が間違っているとゴムの性能を落としてしまうことになるわけです。

 ゴムとトレッドはタイヤの大切な両輪なので、買った時のスタッドレスタイヤの性能をより長く維持させようとしたら、走らせるときも。保管するときも、ちょっとだけタイヤの扱いに気をつけることが大切ということです。

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