私たちが扱う情報量が年々増え続ける一方で、その情報を保管する磁気ディスク(HDD)の容量には技術的な限界が近づきつつあります。その限界を超える技術が「分子メモリ」です。これは量子コンピュータのように量子世界の分子をコントロールして記憶媒体として用いるまったく新しい技術であり、メモリの常識を覆す可能性を秘めています。それは一体どんな技術なのか、現時点で明らかになっていることを解説します。
●なぜ「分子メモリ」はすごいのか
分子メモリとは文字通り、デジタル情報を「1つの分子」に記憶させる、新しい技術です。ただ、どれほどすごい技術なのかこれだけではイメージができないでしょう。そこで、まず簡単に今使われているストレージ技術について理解する必要があります。
現在広く用いられている磁気ディスク(HDD)では、磁気を帯びたディスク上に、小分けにした情報領域を設定しています。この小さな領域にNやSの極性を持たせた上で「N極は0」「S極は1」などと記憶させて、メモリとして機能させています。
ここは、バーコードをイメージすると分かりやすいかもしれません。バーコードが黒い線と白い線を0と1に置き換えて情報に変えるのと同じように、磁極の向きを使っているのです。
磁気ディスクにしろバーコードにしろ、1つの情報を蓄積する領域は分子に比べればはるかに大きな世界です。
そして単純に考えれば、「情報を蓄積する領域」をできる限り小さくしてディスク上に並べればたくさんの情報を蓄えられます。情報密度が高くなるからです。これは、小さな黒点で情報を表現するためバーコードより多くの情報を扱えるQRコードと同じ理屈です。
それがわかっているのになぜ小さくしてこなかったかというと、磁気ディスクにおいて情報を貯める領域を一定以上小さくすると熱の影響で磁極が安定しなくなるからです。これは「超常磁性」と呼ばれる量子力学的な現象(量子現象)です。この現象が発生すると、記録領域に保存した情報が勝手に書き換わってしまいます。
そのため、磁気ディスクでは理論上、この現象が発生するサイズより記録領域を小さくすることができません。磁気ディスクにおける情報密度の限界点であり、これを「超磁性限界」と呼びます。
バーコードで例えるなら、黒と白の線を小さくしていくとインクがにじんでしまって情報を正しく表現できなくなる。そんなイメージに近いかもしれません。
さらに分子レベルまで小さくしていくと、超常磁性のほかにもさまざまな量子現象が起こります。0だった情報が1に変わり、1になるはずの情報が0になり、コンピュータとしては使い物にならなくなります。これは磁気ディスクとは別の原理で情報を記録しているフラッシュメモリも例外ではなく、小型化・高密度化を進めていけば必ずぶつかる壁です。
●分子メモリの可能性、限界を超えたストレージ技術
しかし、新技術の分子メモリは量子現象をコントロールすることで、超磁性限界を超えて情報密度を高めることを可能にしたのです。
分子メモリの最大の特性は「小さなスペースにより多くの情報を詰め込めること」です。情報を詰め込む領域を小さくすることで情報量が増えるのなら、最小レベルの「分子」にしてしまえばこれ以上ないほどの情報が扱えるようになるという理屈です。
ただし“1つの分子に情報を記録する”と言っても“1つの分子”のサイズは統一されているわけではありません。小さな分子もあれば大きな分子もあります。特定の結合パターンが繰り返されて分子が構成される高分子にもなると、まったく別の物資のように見えてきます。
そのため、分子メモリの原理や特性は使われる分子によってしくみが異なります。これはフロッピーディスクとHDDの関係に似ているかもしれません。どちらも磁気を利用した記録媒体ですがその構造と特性はかなり異なっており、同じものと認識する人はいないでしょう。
また、分子メモリはまだまだ研究途上の技術であることもあり、原理や方式によってその特性は大きく異なります。様々な方式が検討されているので、次ページでいくつか簡単にご紹介しましょう。
"ストレージ" - Google ニュース
March 25, 2020 at 05:10AM
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