フィギュアスケート 全日本選手権第1日 ( 2020年12月25日 長野市ビッグハット )
男子ショートプログラム(SP)で、今季初戦の羽生結弦(26=ANA)が103・53点で首位発進した。ジャンプやスピンの配置以外は自らがアレンジを加えたロックナンバー「レット・ミー・エンターテイン・ユー」を熱演。コロナ禍だからこそ選曲した4季ぶりのロック曲で、5年ぶりの全日本制覇へ大きく前進した。
演技後、笑みを見せた羽生は右手で氷に触れた。光沢感のある黒パンツに、ラインストーンの入った黒ジャケット風衣装。英シンガーのロビー・ウィリアムスになりきり、激しく舞った。ただ1人の100点超え。勝負の銀盤に帰還した王者は、やはり強かった。
「(コロナ感染予防で)歓声が聞こえないのは残念。でも、テレビやネットで見てくださっている方々は、たぶん、凄い声を上げて応援してくださったんだろうなと感じていた。楽しみながらやらせていただいた」
こだわりのプログラムがベールを脱いだ。両腕を組んだ姿勢から羽生の“ライブ”が幕を開けた。冒頭の4回転サルコーを決めた直後に会場から手拍子。4―3回転の連続トーループを鮮やかに決め、後半のトリプルアクセル(3回転半)を着地後は左足を大きく振り上げた。連続ステップに入る直前には拍手をあおるしぐさを見せ、ステップ中にはジャンプしながら右足でキック。演技時間は2分50秒。最後に両膝を突き、両手を広げると観客は総立ちになった。
コロナ禍だからこその挑戦だった。当初は振付師のジェフリー・バトル氏とピアノ曲を模索。だが、世の中に目を向けると、暗いニュースばかりだった。「こんなつらい中でも、自分のスケートを見てくださっている。ちょっとでも明るいような話題になったら」。曲名の直訳が「楽しませてやるぜ」という名曲を選択した。音の取り方や手の振り方、動きの強弱など「ほとんど自分のアレンジが入っている」。演技を見る人たちの心に訴えかけるため試行錯誤を重ねてきた。
コーチ不在の中で雌伏の時を過ごし、気づけば、シニア転向後最長ブランクの320日ぶりの実戦だった。空白の間も「スケートに集中できる環境」と前を向き、スケーティングや好不調の波の見極め方を分析した。自らと対話し続けながら積み重ねた努力が、しっかり形となった。
SP首位で迎える26日のフリーも新曲の大河ドラマ「天と地と」を演じる。「しっかりとまた明日もまとまった演技をしたい」。コロナ禍で結ばれた新たな名曲たちと、5年ぶりの頂に立つ。
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