飯塚事件の再審請求審では、確定判決が有罪の根拠の一つとした約30年前のDNA型鑑定の精度が低く、信用性に乏しいことが浮き彫りになった。もし最新技術での再鑑定ができていれば、再審の扉が開かれていた可能性もある。
飯塚事件 1992年2月、福岡県飯塚市の小学1年の女児2人=いずれも当時(7)=が登校中に行方不明となり、翌日、山中で遺体が見つかった。県警は94年9月、女児と同じ校区に住む久間三千年元死刑囚を逮捕。元死刑囚は一貫して無罪を主張したが、一審福岡地裁は99年、DNA型鑑定や車の目撃証言などから死刑判決を言い渡し、二審福岡高裁も支持。2006年に最高裁で確定した。再審請求準備中の08年10月に刑が執行され、妻が09年10月に再審請求した。
飯塚事件のDNA型鑑定は、鑑定に誤りがあった1990年の「足利事件」と同じ手法で行われた。足利事件では真犯人の試料が保管されていたため、2009年の再鑑定により再審無罪が導かれた。一方、飯塚事件では犯人の試料は捜査段階の鑑定で使い切ったとされ、再鑑定はできなかった。
再審請求審で福岡地裁は、事件当時の鑑定の証明力に疑念を抱きながらも、他の状況証拠を重視。再審請求を退け、福岡高裁、最高裁も支持した。
◆乏しい目撃証言
だが、状況証拠の一つである目撃証言は、被害者の遺留品が見つかった山間部に車で通りがかった際、元死刑囚のものらしき車が路肩に止まっているのを見たという内容にすぎない。
飯塚事件で捜査機関が試料を少しでも保管し、再鑑定がなされていれば、元死刑囚が真犯人か否かはっきりした可能性がある。
死刑囚が仮に冤罪(えんざい)だった場合、刑の執行は取り返しがつかない。冤罪を防ぐためにも、試料保管の法整備が必要だ。(池田悌一)
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