アイ・リンクグループの株式会社石島運輸倉庫は、EC事業者の幅広い物流ニーズに対応する。自社で60台のトラックと6つの倉庫を保有し、群馬県を中心に事業を展開。安価な保管料とフレキシブルな対応で、EC商材の取引を増やしている。グループで掲げるスローガンは「チェンジ&チャレンジ」。顧客の売上アップにつながる新サービスを提供するなど、常に変化・改革に挑む姿勢が業界から高く評価されている。物流課題にワンストップで対応する石島運輸倉庫の理念や業務内容について、執行役員の小林部長に話を聞いた。
北関東の太田・伊勢崎エリアにドミナント展開
――御社の概要について教えてください。
石島運送店に端を発する当社には80年を超える歴史があり、群馬県を拠点にトラック輸送や倉庫業を営んでいます。2004年に石島運輸倉庫に社名を変更し、現在に至ります。これまで9つのグループ会社がありましたが、2021年2月に親会社として株式会社アイ・リンクホールディングスを設立。その傘下の事業会社として同月から新たなスタートを切りました。
――拠点や倉庫施設、車両についてお聞かせください。
群馬の太田・伊勢崎エリアを中心に拠点があります。自社の倉庫施設は合計約12,000坪。大型ウィング車(10t、4t)や平車、チルド車など合計約60台のトラックを保有しています。ECではアパレル、特にシューズの取扱いが多いのが特徴です。
――グループ会社が多いですね。
アイ・リンクグループは、関東圏内では群馬を中心に埼玉と千葉、中部地方では岐阜、関西地区は京都、九州では福岡と佐賀、長崎、大分で事業を展開しています。事業領域ごとに得意分野があり、例えば岐阜のギャバンス株式会社はアパレルの流通・加工、株式会社アイ・ロジアドバンスはEC業務を事業の柱にしています。その他、倉庫業や物流コンサルティング、人材派遣などを生業にする企業もあり、「物流に関するすべてのニーズに応えよう」と、総合物流サービスを提供しています。
低コストで保管・輸送、受注管理業務を提供
――業務内容について詳しくお聞かせください。
当社は自社でトラックと倉庫を保有し、保管・荷役、流通加工、幹線輸送、小口配送などの物流業務全般を提供しています。海上コンテナの荷受けやチャーター便の受託、自社倉庫を使った在庫管理や出荷業務、保管検品のアウトソーシングなどにも対応します。流通加工に関してはシール貼りや値付け、商品の化粧箱詰めなど顧客の要望に合わせたサービスを提供します。もちろんBtoBにも、BtoCにも対応可能です。
――御社の強みはどこでしょう。
首都圏の倉庫に比べて坪単価が安いので、保管料は安く抑えられると思います。例えばアパレルだと季節商材の保管などでコストメリットが出ます。保管だけではなく輸送業務も任せていただければ、ディスカウントも検討可能です。また、太田流通センターにはピースソーター(自動仕分けシステム)を設置しています。荷物を160個口に正確に振り分けられるので、作業性・生産性が向上しました。こうしたマテハン機器を活用することで作業者のストレスを低減し、物流のクオリティ向上に努めています。
――新しい取り組みにも挑戦しているようですね。
Amazonや楽天など複数モールの受注・在庫の一元管理システムを提供する会社との提携を予定しています。これにより当社ではECサイトでの受注から商品管理、発送までの物流業務を一気通貫でお請けできるようになります。また、アパレル系ECには欠かせない「ささげ(撮影・採寸・原稿作成)業務」を、我々の倉庫内で提供できる仕組み作りも進めています。撮影所に商品を持ち込む必要がなく、倉庫内で業務が完了するので、よりフレキシブルな対応が可能になります。
蓄積されたファッション・シューズの物流ノウハウ
――これまではどのような案件で実績を積まれてきましたか。
現在は大手シューズメーカーのEC業務を請け負っています。物量としては一週間に8~10万足を出荷しています。流通加工はもちろん、X線検査機による検針が行なえる体制も整えております。こうしたノウハウをもとに、同じ仕組みの中で取り扱える商材は積極的に受け入れていきたいと考えています。
――シューズ以外の商材での実績はいかがでしょうか。
グループではさまざまな商材の取扱いがあります。埼玉の所沢にロジスティクスセンターを構えるアイ・ロジアドバンスでは、化粧品や日用品のEC物流業務を行っています。岐阜のギャバンスでは、アパレルの荷受けから検針・検品、補修、プレス、値付けなどに対応します。軸になるのはファッション系ですが、家電製品や組み立て家具の依頼もいただいています。
――コロナ禍の影響でECの取扱量が増加しています。波動にはどのように対応していますか。
イベント時には2日で半月分の物量を捌くこともあります。80年以上の歴史と実績、経験値、お客様との信頼関係があるからこそ対応できていると思います。また、当社には自社倉庫が群馬県内に6カ所あります。この倉庫網を有効に使うことで、ある程度の波動には対応できるようになっています。倉庫間の輸送には自社トラックを使用するので、コストも抑えられるメリットがあります。
人を育て、地域貢献と顧客の売上アップ目指す
――アイ・リンクグループは経営理念に「人財づくり」を掲げていますね。
グループを統括する石島は3代目ですが、これは代々受け継がれている考えです。当社では何よりも人が会社の財産だと考えています。ものを運んだり、商品を管理したりするのは人です。その人を育てることがお客様のためにもなるし、地域貢献にもつながると思います。これは当社だけでなくグループ全体の考え方で、グループ各社がプロフェッショナル人材の育成に努め、質の高いサービスを提供しようと日々研鑽しています。
――「チェンジ&チャレンジ」というスローガンも印象的です。
失敗を恐れずに常にチャレンジ精神を持って挑戦していこうということですね。「もっとも強いものが生き残るのではなく、変化に適応できたものが生き残るのだ」というダーウィンの言葉の通りです。いまEC物流業界はコロナで過渡期にあります。これまでと同じことをしていたら停滞してしまうでしょう。クライアントの要請や社会情勢に合わせて柔軟に対応することでお客様のニーズに応え、常に新しいことに挑戦しようというのは企業文化になっていると思います。
――EC事業者の要望は複雑・多様化しています。こうした背景をふまえ、御社の今後の展望についてお聞かせください。
個人事業主様や小規模事業者様に寄り添える企業でありたいと思います。お客様の本来の業務は商品を販売すること。それ以降の物流に関しては専門業者である我々に任せていただきたいと思います。そのために在庫一括管理のシステム連携や写真撮影サービスの導入などを進めています。グループ企業も含めてさまざまなご依頼にお応えできる体制が整っていますので、まず一度お問い合わせいただければと思います。
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