Monday, July 26, 2021

ワクチン保管、停電対策で蓄電池「取り合い」に…「接種で手いっぱい」の自治体も - 読売新聞

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 新型コロナウイルスワクチンの接種が進む中、埼玉県内の自治体で、ワクチンを保管する専用冷凍庫の停電対策が課題となっている。これからの季節、県内では落雷や台風の倒木による停電の発生が予想され、自治体の中には蓄電池や発電機を導入して停電に備え始めているところもある。だが、ワクチン接種を進めるのに手いっぱいで、停電対策に着手できない自治体もあり、担当者は頭を悩ませている。

 厚生労働省の手引では、自治体の集団接種などで使われている米ファイザー社製ワクチンは、氷点下60~90度の超低温状態で輸入され、国から各自治体に提供された専用冷凍庫で保管される。ここから接種会場に移し、2~8度の冷蔵庫で解凍して使用する。

 超低温で冷やし続ける専用冷凍庫は相当な電力を消費する。だが、停電時に冷凍庫を作動させるための蓄電池などは国からは用意されず、自治体が個別に確保する必要がある。和光市は「設置する市施設が古く、停電対策で不安がある」として、蓄電池2台を購入した。熊谷市も「十分な性能の蓄電池を確保するのに苦労した」が、市施設3か所に各1台を購入。川口市や松伏町はリースで調達した。

 蓄電池を取り扱うメーカーには「全国の各自治体から注文が殺到している」(県内のある自治体担当者)とみられ、蓄電池の「取り合い」が始まっている。

 2台を購入した東松山市は、市にある冷凍庫に適合する蓄電池が見つかるまで、2か月ほどかかったという。滑川町も5~6社の業者に相談して、ようやく確保した。秩父市は、当初用意した蓄電池が不調で代替機を取り寄せる必要が生じたなど、確保に苦労したといい、市担当者は「国には蓄電池も配備してほしかった」とこぼした。

 加須市では、4月上旬に注文した蓄電池が届いたのは6月になってからだった。市の担当者は「ワクチンの保管量が増えるにつれて停電が怖くなり、業者をせかした。豪雨や雷などで停電し、ワクチンを廃棄することになったらと思うと気が気でなかった」と話す。宮代町も2月の時点で「業者から『納入は早くても6月になる』と聞かされた」(町担当者)といい、実際に蓄電池が届いたのは6月中旬になってからだった。

 一方、上尾市は発電機を導入した。停電時には担当職員の携帯に連絡が届くシステムも取り入れ、職員が駆けつけて発電機を起動させるという。このほか草加市や八潮市は、停電時にガスを噴射して冷やす「補助冷却装置」を導入。小川町は町施設の屋上にある太陽光発電で蓄電し、賄うことにしている。

 ただ、停電対策に手が回っていない自治体もある。志木市は蓄電池購入を検討中というが、担当者は「ワクチンの供給対応に追われて手が回らない」という。春日部市の担当者も、「今は接種業務だけで手いっぱい」と話している。

 東京電力パワーグリッド埼玉総支社(さいたま市浦和区)によると、県内では例年6~10月に、1時間以上の停電が計70回程度発生し、延べ約5万5000軒が停電している。

 このため同社では、停電によりワクチン保管への影響が出ないよう、県内の自治体に専用冷凍庫のある施設を問い合わせるなどして、事前に2000施設ほどを抽出し、大規模停電時に優先的に電力を復旧できるよう準備している。

 同支社は「電力供給を素早く復旧させることで、ワクチン接種態勢を守れるよう、自治体を手助けしたい」としている。

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