Dropbox Businessでは、Standardプランでも容量はチームあたり5TB、Advancedプランになると容量無制限で利用できる。したがって容量不足の心配をしなくて済む――と言いたいところだが、ひとつだけ注意すべき点がある。Dropbox Businessのクラウドに保存するファイル容量が増えると、それと同期しているPC上のDropboxフォルダも容量が増え、PCのローカルストレージ(PC内蔵のSSDやHDD)が容量不足になってしまうおそれがあるのだ。
そんな心配をしなくて済むように、Dropboxは個人向けプランを含むすべてのプランで「選択型同期」機能を用意している。これは、各PCがクラウドと同期するデータをフォルダ単位で指定できる機能だ。クラウドストレージに保存されているすべてのフォルダから、必要なものだけを選んでPCに同期することで、ローカルストレージの容量消費を抑える。
選択型同期は、Dropboxのデスクトップアプリから設定できる。アプリの「基本設定」ウィンドウを開き、「同期」タブにある「選択型同期」ボタン(Macの場合は「フォルダを選択」ボタン)をクリックする。
PCと同期する(PCのローカルストレージに保存する)フォルダにチェックを入れ、同期しないフォルダからはチェックを外したら「更新」ボタンをクリックする。これで選択型同期の設定ができた。
PCのDropboxフォルダを見ると、同期対象から外したフォルダは削除されている。もちろん、クラウド側には引き続き保存されているので、Webブラウザからdropbox.comにアクセスすれば表示されるし、同期対象として設定し直せばいつでも復旧できる。
同期対象にする/外す設定はフォルダ単位となり、ファイル単位では指定できない。また、これはPCごとに設定、保存される設定項目なので、同じユーザーでも使用するPCごとに同期対象の設定を変えることができる。たとえば、ストレージ容量の大きいデスクトップPCではすべてのフォルダを同期対象とするが、容量の小さいノートPCでは一部の重要なフォルダだけ同期させる、といった使い方も可能だ。
ただし、Dropbox Businessを共有しているチームの規模が大きくなれば、フォルダの数も増え、同期する/しないフォルダの選択作業もかなり面倒になる。また、同期が必要なフォルダだけでも容量が大きく、やはりローカルストレージを圧迫してしまうかもしれない。
そうした場合にオススメなのが、Dropbox Businessの全プランで利用できる「スマートシンク」機能だ。この機能を使うと、PCのデスクトップアプリやエクスプローラーからはファイルやフォルダが見えるのだが、実ファイルはPC上に存在せず、オンラインのみ(クラウド側だけ)に保存された状態にすることができる。ここでファイルをダブルクリックすると、すぐさまクラウドからPCにダウンロードして開く。こうした仕組みにより、PCのストレージ容量を節約するわけだ。
すでに利用しているDropbox Businessでスマートシンクを有効にすると、数カ月間PCでアクセスのない使用頻度の低いファイルが「オンラインのみ」の設定となって、実ファイルはPCのストレージから削除される。また、Dropbox.comから直接アップロードされたファイルも「オンラインのみ」の状態となる。
スマートシンクを有効にするには、基本設定画面の「同期」タブを開き、「ハードドライブの容量を自動で節約」を「オン」にして、「適用」もしくは「OK」をクリックすればよい。
スマートシンクではファイルを開くときにダウンロードを実行するが、この処理は自動的に行われるので、ファイルサイズがよほど大きかったり、インターネット接続の速度が遅くないかぎりは、ふつうにエクスプローラーからファイルを開くのと使い勝手は変わらない。Dropbox Businessで大量のデータを管理する際に活躍する機能だ。なお「オンラインのみ」の状態だったデータも、一度ダウンロードされればローカルに保存され、数カ月間アクセスがなければ再び「オンラインのみ」に戻る。
大容量のファイルなど、PCのストレージからすぐに実ファイルを削除したいファイルやフォルダがあれば、手作業で「オンラインのみ」の状態にすることもできる。Dropboxのデスクトップアプリやエクスプローラーで対象のファイル/フォルダを右クリックし、メニューの「スマートシンク」から「オンラインのみ」を選択すればよい。
その反対に、飛行機の搭乗中にオフライン作業がしたいといった場合は、あらかじめ必要なデータをPCにダウンロードしておくこともできる。対象とするファイル/フォルダの右クリックメニューで「スマートシンク」→「ローカル」を選択すれば、ダウンロードが行われてローカルストレージに保存される。
スマートシンクを活用する前提であれば、PCの内蔵ストレージ容量は大きくなくても事足りる。全社員のPCを購入する際、ストレージ容量を最小限で済ませられるならば、大きなコストダウンにつながるだろう。そこで浮いたコストを使い、Dropbox BusinessのAdvancedプランを選択してクラウドストレージは容量無制限にすれば、全社員が大量のデータを管理できるようになる。
Dropbox Businessを利用するにあたって、PCのストレージ容量という制約のためにアップロードするファイルを厳選しなければならない、というのは本末転倒だ。今回紹介した選択型同期やスマートシンクをうまく活用して、効率良く使いこなしてほしい。
(提供:Dropbox)
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