19日公示の衆院選(31日投開票)は、新型コロナウイルスの流行に伴うコメの需要低迷で苦境にあえぐ農家の支援策が一つの焦点となる。自民党は過剰在庫の長期保管や資金繰り支援を打ち出し、立憲民主党は政府備蓄枠の拡大や戸別所得補償制度の復活を掲げて農家の票の取り込みを狙う。
自民、過剰在庫の長期保管と資金繰り支援を訴え
自民党本部で12日にあった農林合同会議。東北選出を含む議員約100人が集まり、深刻な米価下落への対応策を協議した。
農業基本政策検討委員長の小野寺五典氏(衆院宮城6区)は、全農宮城県本部が農協に支払う2021年産米の「概算金」が大幅下落した実情を説明。「事実上『市場隔離』の効果がある過剰在庫の長期保管を行う。米価を安定させ、選挙を農家の皆さんにも支えてもらおう」と呼び掛けた。
長期保管するのは20年産米。農協など集荷団体が主食用米を計画的に販売する「米穀周年供給・需要拡大支援事業」の対象となる37万トンのうち、15万トンを「特別枠」に設定。保管料の国庫補助率を従来の2分の1から100%に引き上げる。
集荷団体が在庫を一定保管後、中食・外食業者に販売する場合は価格の半額を国が負担する。子ども食堂など生活弱者に提供する際には全額補助する。
農家の減収を穴埋めする収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)の交付金は支払いまで時間を要することから、つなぎ資金として無利子融資も実施する。
記者会見した小野寺氏は「保管経費を国が肩代わりすることで農家が農協に支払う手数料が軽減され、手取り向上につながる。コメが適正価格に戻れば概算金の追加払いが行われる可能性も高まる」と述べた。
立民は政府備蓄枠拡大と戸別所得補償制度の復活
米価安定策を巡っては立民が9月、不作に備えた政府備蓄米に過剰在庫を回す方針を盛り込んだ衆院選公約を発表した。中長期的なビジョンとして政府主導の生産調整(減反)や、民主党政権が導入した農業者戸別所得補償制度の復活も提示している。
党農林水産部会長の田名部匡代氏(参院青森選挙区)は「在庫対策は立民が必要性を主張しながら自民が否定してきた経緯があり、非常に判断が遅い。生産量の責任を農家に委ねる対応もやめ、安心してコメを作れる環境を抜本的に整えるべきだ」と訴える。
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