Sunday, May 17, 2020

安田倉庫 Research Memo(4):物流事業は成長事業、不動産事業は安定収益事業(2) - 株探ニュース


■事業概要

(2) メディカル物流サービス
安田倉庫<9324>は、医療用医薬品から一般用医薬品、試薬、医療機器までを扱っており、専用設備の導入や認証・許可の取得、専用輸配送網の整備など、専門性の高いサービスを提供している。メディカル物流サービスでは、特に高度な保管・管理体制が要求されることから、温度管理や冷蔵庫設備など商品特性に応じて保管環境を整備する一方、自家発電設備や衛星電話を備えることで非常時の運用も可能である。また同社は、医療用医薬品や一般用医薬品の製造・販売を行う顧客のために、GMP※1で要求されるGDP※2を見据えた設備・保管管理、センター運営、配送インフラなどの物流体制を構築している。地震や停電などの不測の事態に備え、BCP※3を意識した倉庫構造となっている。このように、メディカル物流サービスに最適な倉庫設備や保管環境を関東及び関西に有し、GDPへの適合やアウトソーシングを検討している顧客に対応していることから、メーカーの海外展開の拠点となっている倉庫もある。

※1 GMP(Good Manufacturing Practices):医薬品製造における製造管理と品質管理の基準。
※2 GDP(Good Distribution Practices):GMPを補完する、保管や輸送までを含む流通過程での品質管理基準。
※3 BCP(Business Continuity Plan):地震、津波、大雨、大雪といった自然災害や、事故、停電など予測不可能な緊急事態の際に取る施策で、重要業務の被害を最小限に抑え、企業運営を滞らせないための行動指針。

センター運営面では、薬剤師など経験豊かな専門スタッフによる高品質な作業体制を整えており、記録管理が重要となるGDP対応を見据えて、管理薬剤師による各種手順書の整備も行っている。添付文書封入や薬事ラベルの貼付など流通加工や入荷検査、預託品の返却受入センターの運営といった高付加価値サービスについても多くの実績がある。配送に関しては、共同配送によって東西の物流センターから全国の卸・医療施設へ毎日商品を届けている。なかでも首都圏及び関西圏では自社車両による配送を行っており、配送ルートの固定化による安定・迅速・高品質で繁閑を問わない納品が可能となっている。また、生産工場から物流センターを経由して全国の卸・医療施設へ、温度記録管理が可能な医薬品専用車両による一貫輸配送サービスも提供している。さらに、メディカル関連貨物の製品情報・包装の変更案内や患者向け冊子のオンデマンド印刷サービスなどにも対応することで、販促資材の製作管理や進捗管理も行っている。

(3) ITキッティングサービス
IT機器の各種設定や動作確認のほか、保管やキッティング※作業、運用管理作業、保守までのサービスをワンストップで提供している。かつて大手PCメーカーの取り扱いが多かったことから、PCやタブレット、スマートフォンなどのカスタマイズ作業から、大型サーバーの移設、回収した商品の廃棄やデータ消去などのサービスまで手掛けており、IT機器に特化した物流ソリューションとして定評がある。

※一般に「キッティング」とはPC導入時に実施するセットアップ作業を指すが、同社の場合、同社の倉庫で機械のボディに回路基板を組み込むなど高度な作業もしており、より範囲の広いセットアップメーカーに近い概念だと思われる。

なかでも、IT機器キッティングについては、都心エリアに複数のキッティング専用施設を有し、専門エンジニアによる高品質なサービスを提供している。具体的には、(1)コンビニエンスストアなどに設置されるATM端末の保管・キッティング作業・配送・設置・動作確認作業、また、閉店時の引き上げ、リファービッシュ(引き上げた中古機器を新品に準じる状態に仕上げ再利用すること)などといった「コンビニエンスストアATM事業」、(2)企業のOS切り替えや異動の時期におけるPCの入れ替え、故障時の代替機配置などに際して行われるキッティング作業から保守、回収、データ消去・廃棄までを行う「PCライフサイクル事業」、(3)展示会や国際会議、学会の際に貸し出されるPCやデスクトップサーバー、モニター、ネットワーク機器といった「レンタル事業」、の3本柱となっている。全国ベースで輸配送を伴う高度なキッティング作業が可能な企業は少なく、拠点を利用した全国ベースのキッティング作業と機器の在庫管理、精密機器の移設・設置、結線などを実施する専門エンジニア、精密機器専用車や実績ある配送パートナーを活用した全国規模の配送は、同社の強みとなっている。ほかにも、24時間365日の対応が求められる保守部品の管理や配送、コールセンターの受付対応サービスも提供している。このため同社のキッティング作業は、「コンビニエンスストアATM事業」が年間で新規1,500台、更改や撤去・一時保管5,000台、「PCライフサイクル事業」が月平均500台~1,000台、「レンタル事業」が月間5,000台~15,000台に上る。

(4) 文書保管・情報管理・引越サービス
顧客のオフィス空間を快適にする様々なメニューを取り揃え、文書の安全な保管・検索・管理から、引越や引越に伴うレイアウト設計・内装工事まで、オフィスにおける様々なニーズにきめ細かくワンストップで対応している。なかでも文書保管サービスでは、書類や各種メディアを耐震性に優れた専用室で保管し、24時間体制のセキュリティで機密保持にも万全を期している。預かった書類は、ファイリング整理から書類の電子化、情報検索・配信、廃棄まで各種サービスを一貫して請け負うことができ、顧客の文書管理の効率化とオフィスの省スペース化をサポートしている。

また、独自のWeb在庫照会システムを利用することで、保管してある文書の在庫状況をリアルタイムに確認、倉庫への文書箱の入出庫指示なども簡単に行うことができる。文書リサイクル処理サービスでは、保管期限を過ぎた文書や不要になった文書などを破砕・溶解処理によって紙製品へとリサイクルし、機密保持と資源の有効活用を同時に実現している。

(5) 海外・国際物流
アジアを中心に独自ネットワークを構築しており、日本発着の国際輸送やそれに伴う通関業務など、顧客の国際物流と海外展開をサポートしている。国際海上輸送では顧客の貨物特性に応じたサービスを用意しており、アパレル輸送ではハンガー納品(工場出荷のハンガーに掛けたままの状態での納品)に対応、独自の断熱ハンガーコンテナに収納することで輸送中のシワ防止や到着後のプレスなどの作業軽減を可能にしている。大型機械や鉄鋼・建材などの大型の重量物・長尺貨物の輸送については、事前に綿密な打ち合わせをすることで在来船への適切な積載方法などを調整している。また、酒類・飲料などの液体輸送については、同社保有のタンクコンテナを利用して輸送することができる。

通関業務では、複雑な税関申告手続や食品衛生法・動植物検疫をはじめとする法令関係手続の申請などをサポートしている。また、同社は「AEO(Authorized Economic Operator)通関業者(認定通関業者)」の認定を受けており、通関手続きを簡素化・迅速化することができる。航空輸送は混載ネットワークにより迅速かつ最適な方法でサービス提供しており、成田空港や関西国際空港などでは関係会社の芙蓉エアカーゴと連携して通関サービスや航空輸送サービスを展開している。中国や香港、ベトナム、インドネシアの自社拠点と海外代理店ネットワークを結ぶことによって、日本を経由しない三国間輸送サービスも提供している。

また、同社の子会社である安田物流(上海)では、上海市内の大型自社物流センターを中心に、高品質・高付加価値なサービスを提供している。具体的には、品質検査・セット組み・ラベル貼りなどの作業や商品保管、中国全土への配送といった倉庫業はもちろん、中国EC販売のサポートや物流コンサルティング業務まで幅広く対応している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《YM》

 提供:フィスコ

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May 18, 2020 at 01:04PM
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