Saturday, May 16, 2020

自筆の遺言書を法務局が保管する制度が開始されます - JIJICO

 「自筆証書遺言書法務局保管制度」は7月10日より開始され、7月1日からはその予約が開始予定となっております。

 ご家族が将来の相続で揉めない様にする為、「遺言書があった方が安心」ということにつきましては、かなり周知がなされているところですが、遺言を自筆した場合、年数の経過による紛失、意図的な破棄や改ざんなどという可能性がある為、“その保管をどうするか”というのが懸念される点でした。

 この保管制度がスタートすることにより、自筆証書遺言の保管に対する懸念が大きく改善されますので、昨年に改正された「自筆証書遺言の方式緩和」と併せて、遺言書を自筆でつくりたいという方の負担軽減につながるものと思われます。

 申請に必要な書類など、まだ発表されていない部分もありますが、手数料などを定めた政令はすでに公布されておりますので、制度の概要を改めてお伝え致します。

保管制度の特徴

①遺言者が自ら法務局へ出向かなければならない
 本人以外の者が、「なりすまし」などで申請することがない様、必ず本人が法務局まで出向く必要があります。

 近親者などが一緒に付き添うことは問題ありませんが、代理人による申請は認められておらず、本人確認の為に、マイナンバーカードや運転免許証など、「顔写真付きの身分証明書」の提示が必要となります。

②家庭裁判所の検認が不要
 これまで、自筆証書遺言は遺言者の死後、家庭裁判所での検認を経なければ、その後の手続きが出来ませんでした。
 公正証書遺言と同様、法務局で保管された遺言書につきましても、この検認手続が不要となりました。

③申請手数料は3,900円
 保管の申請に必要な手数料は、1回あたり3,900円です。
 あくまで、申請時の手数料ということですので、保管年数の経過によって別途費用が必要になる訳ではありません。

 ただし、遺言書の撤回や内容変更などをする為に保管を撤回した場合、再度保管の申請をする時に改めて3,900円が必要となります。
 手続完了後は、遺言者に「保管証」が交付され、いつでも遺言書の閲覧や保管の撤回などをすることが出来ます。

④保管期間について
 保管された遺言書は、「遺言者の死亡の日から相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定める期間」として、遺言者が亡くなってから50年、遺言者が生死不明の場合でも遺言者の出生から120年、と規定されておりますので、時間の経過で破棄されてしまう様な心配は、まずありません。

 なお、保管申請ができる法務局は、遺言者の本籍地、住所地、所有不動産の所在地によって管轄する法務局が異なりますので、事前に確認しておくことが必要かと思われます。
  ⇒保管制度の手数料と保管所法務局の一覧

遺言書の存在を相続人に通知してくれる

 相続人の一人が保管された遺言情報の交付を受けたり、遺言書の内容を閲覧したり致しますと、その他の相続人に対し、遺言書を保管していることが法務局より通知されます。

 これにより、一部の相続人だけが遺言書の存在や内容を知るということや、遺言書の隠ぺいや破棄などの行為を防止することが出来ます。

 また、遺言書が保管されているかどうか(遺言書保管事実証明書)、保管された遺言書の内容の証明書の取得(遺言書情報証明書)、遺言書の閲覧に関しましては、相続人の他、遺言執行者、受遺者、相続人の法定代理人などが請求権者として規定されております。

その他の注意点について

①遺言者が存命の間は、保管の有無などを確認することは出来ません
 遺言書は財産の処分内容に関わる重要な個人の情報ですし、その存在が分かるだけで遺言者に不利益が生じる場合もあります。
 
 たとえ将来の相続人となる方であっても、遺言書の内容はもちろん、保管の有無についても確認することは出来ません。

②遺言書を完成させてから、保管申請をする必要があります
 遺言書をどのようにつくるか、ということにつきましては、遺言者が自由に決めることが出来る事柄であり、「自筆で、署名・押印・日付が必要」という法律上の要件以外には、書き方などに規定がある訳ではありません。

 今回の制度におきましても、書き方の指導や内容の確認などを法務局で行う、ということは想定されていません。
 あくまで、自筆した遺言書をご自身が法務局に保管申請する、という制度に過ぎません。
 

最後に

 今回の制度により、遺留分や遺言能力の問題など、制度では補えないこともありますが、自筆証書遺言をつくられる方が増えることが予想されますので、遺言が無いことによる、将来の相続争いを防止するという効果が期待されます。
 
 相続のご相談をお伺いする時、「いずれ遺言書を書くつもり、と言っていたのですが・・。」というお言葉を耳にすることもありますし、“遺言書があれば、相続は変わった結果になったのでは”と思われる事案に遭遇することも少なくありません。

 今回の制度により、遺言書をつくるというハードルが下がりましたので、少しでも関心を持たれる方が増えて、遺されたご家族のことを想われる時間となる、よいきっかけになればと思います。
 

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