Saturday, August 22, 2020

ICOで巨額の資金調達に成功した「ストレージの分散化」を目指す「Filecoin」とは? - GIGAZINE


仕事の資料を他の人と共有したり、撮影した写真を手持ちのデバイスすべてに同期したりする際に、クラウドストレージは非常に便利な存在です。しかし、クラウドストレージの発展とともに、特定の企業にユーザーのデータが集まる中央集権的な構造ができあがったのも事実。仮想通貨の上場支援を行うCoinListが、IPFSと呼ばれる技術でストレージの分散化を目指す「Filecoin」を解説しています。

Filecoin: Why it's a big deal
https://blog.coinlist.co/filecoin-why-its-a-big-deal/

Deep Dive Into Filecoin: Proof of Storage Systems
https://blog.coinlist.co/deep-dive-into-filecoin/

Filecoinの革新性を説明するため、CoinListはストレージの歴史を1956年にIBMによって発表された世界初の磁気ディスク式記憶装置「RAMAC」までさかのぼっています。当初RAMACはリース式で提供されており、その月額費用は1MBあたり640ドル(約6万8000円)でした。記事作成時点のGoogle Driveの月額費用が1TB(100万MB)あたり10ドル(約1100円)であることを考えると、当時のストレージがいかに高額であったかがわかります。

1990年代には現在広く普及しているSSDが登場したものの、「ストレージを自分の手元に置く」という構造自体は不変だったとのこと。この構造を変えたのが、2006年に登場したAmazonのAWSに代表されるクラウドサービスです。クラウドサービスによってハードウェアは抽象化され、データを物理的に自分の手元に置いておく必要がなくなりました。しかし、クラウドサービスを提供する特定の企業にデータが集中するという新たな問題も発生したとのこと。


Filecoinはこうしたストレージの中央集権化に終止符を打つべくProtocol Labsという企業によって立ち上げられたサービス。2017年にはICOにより2億5700万ドル(約283億円)の資金調達に成功しています。Filecoinは「IPFS」と呼ばれる、HTTPに代わる新しいP2Pのプロトコルが基幹技術です。IPFSはデータを「IPFSオブジェクト」と呼ばれる単位に分割し、それぞれのオブジェクトをリンクすることで、データの保存場所を分散することが可能。IPFSの技術的な詳細については、以下の記事で詳しく説明されています。

中央主権的なHTTPから脱却し新しいインターネットの世界を生み出す壮大な分散型システム「IPFS」とは? - GIGAZINE


Filecoinは「クライアント」「報奨サービス」「ストレージマイナー」の3要素によって構成されています。ストレージマイナーは「新たなストレージの採掘」と「ネットワークへ提供した計算能力の累積値」によってFilecoinが発行するトークン「FIL」を報奨として受け取ることが可能。ストレージマイナーの元へクライアントのデータが保存された時は、そのデータをマイナーが将来受け取ることができるFILによって「担保」する必要があり、データを破棄した場合は担保であるFILを失う仕組み。こうした動機付けにより、マイナーとクライアント間の信頼性が保たれているとのこと。

クラウドサービスとは異なり、Filecoinにはデータが一定期間適切に保存されているのかを証明できる管理者が不在です。管理者無しでデータの有効性を証明するため、Filecoinでは「Proof of Replication(PoRep)」と「Proof of Spacetime(PoSt)」という2つの証明書を導入しているとのこと。PoRepはマイナーがクライアントのデータをきちんと物理ストレージにコピーしたことを証明し、コピーするタイミングで一度だけマイナーが発行します。PoStはPoRepが一定期間有効であることを証明し、マイナーは繰り返し証明書を発行して有効期間を更新していきます。この2つの証明書をマイナーが発行することにより、クライアントであるユーザーは自分のデータがきちんと保存されているか、どの程度の期間有効なのかを確認することができます。


また、寡占状態にあるストレージサービスは価格決定が不透明だとCoinListは主張。Filecoinでは余ったストレージを誰でも貸し出せるため、供給を特定の組織にコントロールされる心配がなく、需要と供給の原理によって合理的に価格が決定されるとのこと。利用していない家を誰でも貸し出せるような市場基盤を提供することで、市場への参入障壁を下げ価格競争を促しているAirBnbと同じ構造だと説明されています。

CoinListは「Filecoinはデータ管理における次のステージを体現するサービスだと信じており、Filecoinを誕生時からサポートしているのを誇りに思う」とコメントしています。

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