Sunday, January 24, 2021

大栄翔、初優勝!27歳平幕「夢のよう」 突き押しスタイル貫き埼玉出身力士初の快挙 - スポニチアネックス Sponichi Annex

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大相撲初場所で初優勝を果たし、賜杯を手に笑顔を見せる大栄翔
Photo By 代表撮影

 2敗の単独首位で迎えた西前頭筆頭の大栄翔(27=追手風部屋)が隠岐の海(35=八角部屋)を突き出しで下し、13勝2敗で初優勝を果たした。平幕優勝は昨年7月場所の照ノ富士以来33度目(32人目)で、埼玉県出身力士の優勝は初。磨きをかけた突き押しのスタイルを貫き、過去5年で初優勝力士が誕生した新年最初の本場所で新たなスターが名乗りを上げた。

 鬼瓦のような大栄翔の表情が、少しだけ緩んだように見えた。優勝賜杯を手にした時の印象を問われた時だった。「あんなに重いものとは思ってなくて、びっくりした」。入門9年目にして夢をつかみ「自分の相撲を取り切った。うれしさしかない。夢のよう。言葉に言い表せない」と感慨に浸った。

 迷いなく攻めて8発の突きに全力を注いだ。低い前傾姿勢で頭からかますと回転よく両腕を突き出す。左右の喉輪で隠岐の海の上体を起こし、そのまま一気に突き出した。7日目までに大関、関脇、小結の7人を総なめにする快進撃。後半戦は重圧もあって土俵際に追い込まれる相撲もあったが、一日一番に集中し埼玉県初の優勝力士になった。誰もが驚いた快挙には、3つの要因があった。

 (1)右肘の回復 1年前だった。大栄翔は後援会長の栗原友介氏(60)にこう漏らした。「肘に違和感があるんです」。整形外科医として朝霞市で開業する栗原氏は早速エックス線でチェック。師匠の追手風親方(元幕内・大翔山)の知人の病院で昨年10月に右肘の遊離軟骨を除去した。同氏は「昨年の11月場所はまだ肘をかばうような動きだったが、今場所はそれがなくなっていた。手術は大きな転機だった」と分析した。

 (2)突き押し 高校まで四つ相撲だったが、入門後に師匠から「体が大きいわけでないのだから、まわしにこだわるな」とアドバイスされ転向した。生命線は立ち合いのぶちかまし。最近は右足の踏み込みを意識した稽古で磨きをかけ「今場所は立ち合い一度も負けてない」と自信を持っていた。

 (3)稽古環境 所属する追手風部屋は四つ相撲の遠藤、小兵の翔猿、十両で優勝した剣翔ら関取6人を抱える。コロナ禍で出稽古が禁じられる中、いろんなタイプと稽古をできる環境も奏功した。「どんなタイプにも回転のいい突っ張りをすることができた。感謝しています」

 アマ時代は主要大会での優勝に縁がなかった男がついに最高峰のタイトルを手にした。「変わらずに自分のいい相撲を毎日取れるよう、これからも頑張っていきたいです」。初場所は6年連続で初優勝力士が誕生しており、21年も遅れてきた大器が大きな花を咲かせた。

【大栄翔 勇人(だいえいしょう・はやと)=本名・高西勇人】
 ★生まれ 1993年(平5)11月10日生まれ、埼玉県朝霞市出身の27歳
 ★大相撲歴 埼玉栄高から12年初場所初土俵。14年名古屋場所新十両。15年秋場所新入幕。20年初場所新小結。同年秋場所新関脇。優勝1回。殊勲賞3回、技能賞1回
 ★しこ名 12年春場所で高西から大翔栄に改名したが、「栄が最後に来ると下半身をケガする」と言われ、その通りケガをした。同年秋から大栄翔に改める
 ★サイズ 1メートル82、161キロ
 ★得意 突き、押し
 ★愛称 栄関、勇人
 ★理想の力士 似たような体格で突き押しを得意とした元横綱・北勝海の八角理事長
 ★院生 昨年4月に日大大学院に入学。岩木山(青森大)、日馬富士(法大)に続く3人目の院生力士となった
 ★趣味 ドラマ観賞「愛の不時着」。漫画「ワンピース」
 ★女性のタイプ しぐさが可愛い子
 ★好き嫌い 好物は焼き肉。嫌いなものなし
 ★好きな歌手 長渕剛「HOLD YOUR LAST CHANCE」と浜崎あゆみ「appears」
 ★家族 母・恵美子さん、兄・一直さん

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