
『特集:球春到来! センバツ開幕』 3月19日、2年ぶりとなるセンバツ大会が開幕する。スポルティーバでは注目選手や話題のチームをはじめ、紫紺の優勝旗をかけた32校による甲子園での熱戦をリポート。スポルティーバ独自の視点で球児たちの活躍をお伝えする。 【写真】2021年のドラフト候補たち 【球速全盛時代に背を向ける左腕】 高校野球でひと昔前は夢の世界だった「150キロ」がいまや日常風景となっている。 今年のセンバツ出場校の投手陣では、右腕だと関戸康介(大阪桐蔭3年)の最速154キロを筆頭に、小園健太(市立和歌山3年)は152キロ、畔柳亨丞(中京大中京3年)も151キロ。左腕でも大阪桐蔭のエースナンバーを背負う松浦慶斗(3年)が150キロ......。 その中で、あえて"球速全盛時代"に背を向けるエースが「野球の島」四国の代表校に存在する。 男の名は明徳義塾3年の左腕・代木大和(しろき・やまと)。184センチの長身から放たれるストレートの球速は今年2月の紅白戦でようやく140キロに到達。しかし、普段は130キロ前半。にもかかわらず、昨秋は公式戦7試合7完投4完封・62回を投げて防御率0.58。侍ジャパンU-18代表監督を兼任する明徳義塾・馬淵史郎監督が「代木に尽きる」と表現したとおり、愛媛県四国中央市で育った彼は、チームを四国大会優勝に導く八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍を見せた。
特に圧巻だったのは高知県大会の決勝戦。ドラフト上位候補の最速151キロ右腕・森木大智(高知3年)との対決で延長12回・170球を投げて日没引き分け再試合(1対1)に持ち込むと、中1日での再試合も105球で5安打完封。再試合は登板を回避した森木をして「さすが明徳義塾のエースと思った」と言わしめる堂々たるものだった。 では、なぜ代木がこのような実績を残すことができるのか? その明確な答えは3月12日、意外なところから明らかになる。 【高校生離れした「クレバーさ」の秘訣】 この日行なわれたのは3月19日のセンバツ初日第2試合を戦う明徳義塾と仙台育英の両監督によるオンライン対談。甲子園大会51勝の馬淵監督が「パワーもスピードも向こう(仙台育英)が上」と予防線を張るのに対し、中学軟式野球監督のトップランナーとして存在感を示し続け、2018年から母校・仙台育英の監督に就任した37歳・須江航監督は代木について、このように高い評価を与えた。 「代木くんは右打者へのカットボールが秀逸である点と、左打者に対する外(アウトコース)の出し入れが高校生レベルでない、社会人に近いクレバーさがある」
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