スヴァールバル世界種子貯蔵庫(2008年2月26日)。
AP Photo/John McConnico
ノルウェーと北極点の間に浮かぶ離島の山中にあるスヴァールバル世界種子貯蔵庫は、世界各地から提供される種子100万種以上を保管している。
以前は「世界の終わりの日のための貯蔵庫」とも呼ばれていたが、貯蔵庫のコーディネーターを務めるアスムンド・アスダル(Åsmund Asdal)さんによると、そうではないという。
「世界が滅亡した後の遠い未来のために備えたり、作られた施設ではありません。国際的なジーンバンクの一翼を担う施設です」
ジーンバンクは研究者や生産者たちのために種子を保管する施設で、「これらの種子は固有の遺伝資源です。自生地で種が失われれば、遺伝情報も永遠に失われてしまいます」とアスダルさんは説明している。
シリア内戦では初めて人類を救った。
貯蔵庫への種子の運搬を調整するために年に3~4回施設を訪れているアスダルさんは、もっと多くの場所で種子を保管すべきだと話している。スヴァールバル世界種子貯蔵庫は、種子を預かってくれる施設の1つだ。
貯蔵庫へのアクセスは厳しく制限されている。一般人の立ち入りは禁止されているが、写真とともに中の様子を見ていこう。
貯蔵庫のマネジメントを担うクロップ・トラスト(Crop Trust)によると、スヴァールバルは今も定期便が就航している世界最北の地だという。
Google Earth/Tech Insider
Source: The Crop Trust
海抜約120メートルに位置し、空気中に水分はほとんどない。
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Source: The Crop Trust
永久凍土の中に埋まっているから施設の中は寒いと思っている人も多いようだが、「スヴァールバルの山の永久凍土や岩石、土壌だけではマイナス3、4度にしかならず、わたしたちは冷却システムを備えています」とアスダルさんは話している。
スヴァールバル世界種子貯蔵庫(2015年10月18日)。
AP Photo/David Keyton
スヴァールバルに種の入った箱が到着すると、空港のセキュリティーシステムでスキャンし、箱の中に種以外のものが入っていないかどうか確認する。アスダルさんが箱にラベルを付けて、貯蔵庫の中の棚に保管する。種に関する情報はデータベースに入力され、誰でもアクセスすることができるとアスダルさんは話している。
小麦の種のサンプルを梱包する国際トウモロコシ・コムギ改良センターの技術者(メキシコ)。
AP Photo/Eduardo Verdugo
Source: The Crop Trust
通常、アスダルさんと貯蔵庫に同行するのは、アスダルさんのNordic Genetic Resource Centerの同僚1人と、政府のスヴァールバルの公共財を所管する部局の担当者だ。彼らは貯蔵庫で1~3時間を過ごす。
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Source: The Crop Trust
現在、スヴァールバル世界種子貯蔵庫は世界各地にある1700のジーンバンクのうち91施設から種子を預かっている。災害などで自国のジーンバンクのサンプルがダメになってしまうリスクに備えて、バックアップをスヴァールバルに送っている。
国際トウモロコシ・コムギ改良センターで種のサンプルを整理する技術者。
AP Photo/Eduardo Verdugo
Source: The Crop Trust
そうすることで、世界中の作物の遺伝的多様性が保たれる。
フィリピンにある国際稲研究所。スヴァールバルに送る予定のサンプルを見せてくれた。
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貯蔵庫の中の気温はマイナス18度で、冬は外も寒いため、服装の調整が重要だとアスダルさんは語った。アスダルさんが住んでいる場所も冬は氷点下になるので、貯蔵庫を訪れる時と同じ服装で済むという。
スヴァールバル世界種子貯蔵庫に運び込まれる、日本やアメリカから届いたばかりのサンプル(2016年3月1日)。
REUTERS/Heiko Junge/NTB Scanpix
Source: The Crop Trust
夏になるとスヴァールバルの気温は0度前後になり、日によっては10度くらいまで上がることもある。「トナカイが食べられるような草花もあります」とアスダルさんは話した。
スヴァールバル世界種子貯蔵庫の正式オープンの後、氷河に立ち寄ったバローゾ欧州委員会委員長とノルウェーのストルテンベルグ首相(2008年2月26日)。
REUTERS/Hakon Mosvold Larsen/ScanpixNorway/Pool
Source: The Crop Trust
建物の屋上とファサードの一部はDyveke Sanne氏による光を使ったアートワークだ。ノルウェーでは全ての公共施設にアートを取り入れることが義務付けられている。
スヴァールバル世界種子貯蔵庫(2008年2月24日)。
AP Photo/John McConnico
Source: The Crop Trust
貯蔵庫の中に入るには、コード化された鍵のついた5つのドアを通らなければならない。
スヴァールバル世界種子貯蔵庫の入口のトンネルの前に立つ武装した警備員(2008年2月25日)。
AP Photo/John McConnico
Source: The Crop Trust
この島では人間より多いシロクマも「セキュリティーの強化」に貢献しているとクロップ・トラストは話している。
REUTERS/Bob Strong
Source: The Crop Trust
密封された種子を適切に保管するため、貯蔵庫の中はかなり寒くなっている。
貯蔵室に続く内部のドア。
AP Photo/John McConnico
Source: The Crop Trust
スヴァールバル世界種子貯蔵庫に運び込まれた種子は台車に載せられ、専用の部屋へと移される。その日の仕事内容にもよるが、アスダルさんはからだを動かしている方が貯蔵庫の中では温かく過ごせると話している。「書類仕事のような、からだをあまり動かさない仕事をしているとすぐに凍えてしまいます。その場合は一度外に出てからだを温めてから中に戻らなければなりません」とアスダルさんは語った。
スヴァールバル世界種子貯蔵庫に運び込まれるサンプル(2008年2月26日)。
AP Photo/John McConnico
Source: The Crop Trust
2008年の設立以来、スヴァールバル世界種子貯蔵庫には現在、100万以上のサンプルが集まっている。サンプルには1つあたり500個の種が入っている。
スヴァールバル世界種子貯蔵庫に保管されているサンプルの入った箱(2015年10月18日)。
AP Photo/David Keyton
Source: The Crop Trust
ただ、保管スペースはたっぷりある。貯蔵庫には450万のサンプルを保管できる3つの貯蔵室がある。これは種の数にして20億個以上だ。
スヴァールバル世界種子貯蔵庫のオープン最終準備を見守る警察官(2008年2月26日)。
AP Photo/John McConnico
Source: The Crop Trust
種はアルミホイルで密封された状態で届き、間違いのないよう箱に入れて密封して保管される。
サンプルを準備する国際トウモロコシ・コムギ改良センターの技術者。
AP Photo/Eduardo Verdugo
Source: The Crop Trust
2015年にはシリアにあったシードバンク「国際乾燥地農業研究センター(ICARDA)」がスヴァールバル世界種子貯蔵庫から初めてサンプルを引き出した —— そうすることで、内戦で被害を受けたシートバンクを移転、再開することができた。
ICARDAから預かっている残りのサンプルを確認するクロップ・トラストの責任者(2015年10月18日、スヴァールバル世界種子貯蔵庫)。
AP Photo/David Keyton
Source: Tech Insider
こうしてスヴァールバル世界種子貯蔵庫はその役割を果たすことができたが、今後、このような必要に迫られることはない方がいい。「コレクションの損失は取り返しがつきません… この種子貯蔵庫が保険として機能しているという素晴らしくも悲しいストーリーをたしは伝えているのです」 とクロップ・トラストの元エグゼクティブ・ダイレクター、キャリー・フォウラー氏は語っている。
スヴァールバル世界種子貯蔵庫(2008年2月25日)。
AP Photo/John McConnico
Source: Business Insider
(翻訳、編集:山口佳美)
からの記事と詳細 ( 世界各地の種子100万種以上を保管! 写真で見る、スヴァールバル世界種子貯蔵庫 - Business Insider Japan )
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