手のひら大の茶色の紙片は、1945年8月8日付。田頭さんの名前や住所が記されている。原爆が投下された8月6日夕に爆心地周辺で見た地獄絵の記憶と、弟を原爆に奪われたあの日からの悲しみを語る「無言の証人」だ。
田頭さんは2017年の禁止条約実現に感激し、自ら手がけた新種のバラにICANと名付けたことからICANとつながった。20年夏、「思い出すだけでもつらい上、高齢で証言活動はできない。自分の代わりにこれが役立ってほしい」と罹災証明書を国際運営委員の川崎哲(あきら)さん(53)に託していた。
川崎さんはバラの写真と一緒に額装し、禁止条約の第1回締約国会議を前にICANがオーストリア・ウィーンで開いた「核禁フォーラム」の会場でベアトリス・フィン事務局長に手渡した。新型コロナウイルス禍の影響もあり、2年越しでの実現。フィンさんは「核兵器廃絶という共通の目標に向けた全世界の運動の象徴だ」と喜んだ。(小林可奈、金崎由美)
(2022年7月12日朝刊掲載)
新作のバラ「ICAN」 被爆者で育種家 田頭さん 核廃絶運動に共感
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