光学ディスクに対してデータを平面的ではなく立体的に記録することによって、記録容量を大きく拡張する技術を上海科技大学の研究者らが編み出しました。この技術で記録できる容量はペタビット級、つまり数百TBに相当し、生産技術はDVDと互換性があるので、大量生産も期待できるとのことです。
A 3D nanoscale optical disk memory with petabit capacity | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-023-06980-y
DVD’s New Cousin Can Store More Than a Petabit - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/data-storage-petabit-optical-disc
This DVD-sized disk can store a massive 125,000 gigabytes of data | Popular Science
https://www.popsci.com/technology/optical-disk-petabit/
上海科技大学の顧敏教授らは、大容量が求められるデータセンターにおいて、フラッシュメモリやHDDなどの技術をベースにしていると、エネルギー負荷の高さや運用コストの高さ、寿命の短さが問題になると考えました。顧教授らが費用対効果の高い長期アーカイブデータストレージソリューションとして目をつけたのが「光データストレージ(ODS)」、つまり光学ディスクです。
ただ、光学ディスクは低コストで耐久性にも優れていますが、記録可能なデータ量の制限が難点。過去、この問題を乗り越えるため、記録層を平面ではなく、立体的にするという研究が行われてきました。
顧教授らは「探すのに10年かかった」という素材「AIE-DDPR」で課題をクリアしました。「AIE-DDPR」は、さまざまな波長の光に対して反応する素材で、顧教授らは515nmの緑色レーザーと639nmの赤色レーザーを用いて、1マイクロメートルごとに区切られた層にデータを書き込み、読み取りに480nmの青色レーザーと592nmのオレンジ色レーザーを使用しました。
その結果、DVDと同サイズの光学ディスクに100層で最大1.6ペタビット、つまり200TBのデータを記録できたとのこと。
さらに、AIE-DDPRフィルムを用いたブランクディスク生産工程は、従来のDVD生産と互換性があり、6分ほどで作れるため、商業展開も期待できると顧教授は述べています。
顧教授らは今後、さらなる新素材によって、約100ミリ秒の書き込み速度の改善と、エネルギー効率の改善に取り組むとのこと。また、光学系の収差を少なくすることで、ディスクの層を増やすことができる可能性についても言及しています。
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