「HDD」や「テープ」といったストレージは、記録媒体に磁性体(磁性を帯びた物質)を用いる。これに対して記録媒体に「DNA」(デオキシリボ核酸)を用いるのが「DNAストレージ」だ。これをストレージサービスとして提供することを計画するIridiaによれば、DNAストレージはHDDやテープを代替する存在になる。そのサービス内容や、ユーザー企業にとっての利点とはどういうものなのか。
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連載:記録媒体はDNA、いつまでも使えるストレージ
開発段階にある革新的ストレージの可能性
DNAストレージは、データをDNAの塩基配列(アデニン、チミン、グアニン、シトシンという4種類の塩基の並び)に変換して保存するストレージだ。次世代ストレージ技術の一つと目され、複数のベンダーがDNAストレージの開発に関わっている。2016年に創業した米国のIridiaは、2026年にDNAストレージサービスを提供する計画を公表している。同社のCEOムラリ・プラハラド氏に、既存のストレージサービスとの違いや、見込める利点を聞いた。
―― DNAストレージサービスはどのようなサービスになるのでしょうか。市場にあるストレージサービスとの違いはありますか。
ムラリ・プラハラド氏 クラウドサービスベンダーのストレージサービスを考えると分かりやすい。一例としてAmazon Web Services(AWS)のストレージサービス「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)のストレージクラス(メニュー)「Amazon S3 Glacier」を例に考えてみよう。Amazon S3 Glacierは、データを長期保存するためのサービスだ。Amazon S3 Glacierに保存したデータを取り出すには、メニューに応じて数時間以上の時間がかかる。
アーカイブ用のストレージサービスを利用する際、ユーザー企業はデータがテープに保存されているのか、HDDに保存されているのかをほとんど気にしない。つまりユーザー企業にとっては、利用するストレージがテープやHDDではなくDNAストレージであったとしても、同じサービス内容なのであれば問題ない。
ユーザー企業がAmazon S3 Glacierにデータを保存する場合、データの読み込みや書き込みの速度に関する性能はほとんど気にしない。こうしたアーカイブにおいて重要なのは、そこに何が保存されているのかを把握し、データを利用したいときは、数時間以上の時間がかかってでも確実にデータを取り出せることだ。
Iridiaはこうしたアーカイブとしての特性を踏まえてDNAストレージサービスを企業向け「Storage as a service」(StaaS)として提供し、収益性の確保を目指す。
TCOの抑制を重視
―― テープや光ディスクは、容量単価が他のストレージに比べて安くなる傾向にあります。DNAストレージはどうでしょうか。
プラハラド氏 ユーザー企業がストレージサービスを使い、データを特定の期間にわたって保存する場合、気にするのはその期間のTCO(総所有コスト)だ。
ストレージサービスでは一般的に、データの書き込みや長期の保存、データの削除などにそれぞれ料金が発生する。Iridiaはデータの書き込み時には通常よりも高い料金を請求する可能性があるが、それでもTCOは既存のストレージサービスよりも抑制できると見込んでいる。データの削除については他社と同程度の料金を想定している。データを取り出す際は、24時間から48時間でアクセスできるようにする。
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