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(出所:日経クロステック)
連載100回目にささげて
当連載「サプライチェーン新常識」が今回で第100回となった。文字通り、サプライチェーンや調達をテーマに、そのタイミングで注目すべきトピックスを紹介してきた。
ありがたいことに、このサプライチェーン・調達の領域では絶えることなく様々な媒体に自説発表の場を15年以上にわたっていただいてきた。もともと筆者は製造業の現場での調達担当者を経て、コンサルタントを始めた。
例えば講演会のスピーカーとして呼ばれたとき、そしてテレビ番組にコメンテーターとして出演したとき、あるいは企業のコンサルティングを請け負ったとき、「これまで呼んだ中で、あなたが一番若いよ」と言われたのを昨日のように思い出す。
過去も現在も、ほぼ大手企業からの仕事を請け負っているが、「普通は大手コンサルティング会社にしか依頼しない。中小の場合はベテランのコンサルタントが多い。だから、あなたに依頼したいという稟議(りんぎ)は通すのが難しかった」と正直に教えてもらったこともある。きっと、よくも悪くも“古い”世界だから、初期のクライアントには感謝しかない。
さすがに筆者も40代の中盤になってきて、「若いね」とは言われなくなった。それに、米中の経済戦争、経済安全保障、そして製造業の国内回帰や新型コロナ禍など、サプライチェーンや調達が注目を浴びることの多い時代になったため、様々な仕事が舞い込むことになった。
「おたくはこの見積価格が精いっぱいか」
そもそもサプライチェーン、あるいはバイヤーや調達と言い換えてもよいが、こういった部門は単独では何もできない。社内外の協力があってこそ業務が成り立つ。その業務の中身は、サプライヤーの成果(≒商品、サービス)をカネで買ってきて、自社生産につなげるだけ、と言っても過言ではない。
それなら、せめてサプライチェーン・調達関係者は、世の中の状況を分析して戦略を構築せねばならない。特に、今後ホワイトカラーの仕事は諸外国に取って代わられる可能性があるだけではなく、AI(人工知能)によって代替されてしまうかもしれない。業務に対していかに付加価値を設定できるかが重要だろう。
その一助となればと思って、続けてきたのが当連載である。
ところで、かつてサプライチェーンや調達の現場では、交渉時に、相手へギリギリの対応を迫ってきた。
「おたくはこの見積価格が精いっぱいか。このままでは海外勢に負けるぞ」
といったような脅しにも似た問いかけをし、決断を迫った。大げさに言えば、交渉を通じてサプライヤーの1人ひとりと、魂を削り合う関係を構築できるかが重要だとサプライチェーン・調達関係者は思ってきた。それが、日本全体のものづくりの競争力の向上につながっていると信じていたのだ。
この10年ほどを振り返ってみると、最も変化したのがこの交渉スタイルではないか、とあらためて思う。
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