企業の間でHDDから、SATA(Serial ATA)やSAS(Serial Attached SCSI)といったHDDと同様のストレージインタフェースを備えたSSD(ソリッドストレージドライブ)への置き換えが進んでいる。大容量のデータを保存するための記憶デバイスとしてSSDなどのフラッシュストレージの実用性が高まっているためだ。現時点ではHDDの総出荷台数がかろうじてフラッシュストレージを上回っている状況だが、2020年か2021年には逆転すると予測されている。
SSDをHDDと比べた場合、スループット(実効的なデータ転送速度)とデータ読み書きの速度が高いという大きな利点がある。ただしSSDがHDDのフォームファクター(形状や大きさに関する仕様)とストレージインタフェースの互換性を維持する限り、NAND型フラッシュメモリの潜在能力を最大限発揮することはできない。特にフォームファクターに2.5型のスモールフォームファクター(SFF)、ストレージインタフェースにSATAを採用している場合はそうだ。
こうした状況は変わりつつある。PCI Express(PCIe)接続のインタフェース規格NVMe(Non-Volatile Memory Express)に準拠した高性能のフラッシュストレージが企業の間で普及し始めているからだ。
本稿は、企業向けフラッシュストレージのトレンドやNVMe接続デバイスが優勢になる理由などを紹介する。
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調査会社のStatistaは、2021年に初めてSSDの出荷台数がHDDを上回るだろうと予測する。同じく調査会社のResearch and Marketsによれば、企業向けフラッシュストレージ市場は2018年から2024年にかけて年間17%で成長し、2024年に約250億ドルの売上高に達すると予測している。出荷台数が大幅に伸びる理由は、Alibaba Cloud、Amazon Web Services(AWS)、Google、Microsoftといった大手クラウドベンダーやコロケーション用のデータセンターでの採用が増えていることだ。
フラッシュストレージが企業向けの市場でHDDと競い合うための最も簡単な方法は、HDDと同じストレージインタフェースを採用することだった。数年前まではSATAやSASをインタフェース規格として採用したSSDが市場の主流だったが、より性能が高いNVMe接続を採用したフラッシュストレージの導入が2017年後半から爆発的に進んだ。2018年半ばにはNVMe接続のフラッシュストレージの出荷容量がSATA接続のSSDを超えた。
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