東日本大震災の東京電力福島第一原発事故で発生した指定廃棄物は、震災から九年が過ぎた今も栃木、群馬両県内に存在する。発生した県内で国が処理することになっているが、その歩みは遅い。 (小川直人、菅原洋)
福島県に次いで多い計一万三千五百三十三トンの指定廃棄物がある。中でも、稲わらや牧草など二千九百九十三トンは、県北部を中心とした六市町の農家百二十三戸がそれぞれの敷地内で一時保管し、保管の長期化が問題視されている。
「もちろん早く持っていってほしい」。那須塩原市で保管している農家の七十代男性がつぶやく。環境省が昨夏に実施した放射能濃度の測定の結果は七〇〇〇ベクレル台で、基準値は下回った。それでも男性は「まだ高いなと感じる。測定結果以外は聞いていない」と表情を曇らす。
同省は二〇一四年七月、指定廃棄物を県内一カ所に集める「長期管理施設」の候補地として塩谷町内の国有地を示したが、地域の反発でこの計画は難航した。保管農家の負担を軽減するためとして同省と六市町は一八年十一月、この計画を維持しながら、各市町ごとに集約して暫定的に保管する案で合意した。
現状把握のため実施した昨夏の放射能濃度の測定では、全体の八割は基準値を下回ったことが今年三月に公表された。同省は乾燥・圧縮や焼却などにより廃棄物全体の量を減らすことも視野に、集約化に向けて市町と協議を進めるが、それぞれの具体的な保管場所など、進展はまだ見えてこない。
<指定廃棄物> 東京電力福島第一原発事故で拡散した放射性物質を一キログラム当たり八〇〇〇ベクレル超含み、環境大臣が指定した廃棄物。稲わらや堆肥、ごみの焼却灰などの状態で、発生した各県内で保管されている。国がそれぞれの県内で処理することが決まっている。
◆情報公開の徹底など求め 県弁護士会が意見書
県弁護士会(沢田雄二会長)は、県内六市町の農家の保管分を各市町ごとに暫定的に集める案に対する意見書をまとめ、五月末に環境省などに送付した。
各市町ごとの集約場所を選ぶに当たり、選定基準などの情報公開を徹底し、住民が意思決定に参加できる場を確保するよう求めた。「暫定」であることを理由に安全性を軽視しないことや、集約場所の運営に住民が関与できる制度をつくることも提言した。
担当の野崎嵩史弁護士は、県内の長期保管施設の計画で反対運動が激化したことを挙げ「住民に突然計画が示されるなど手続きの不備が混乱を招いた。決定前の徹底した情報公開が重要だ」と強調する。
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