Friday, April 23, 2021

大成建設が可動型保管棚を低コストで簡単に免震化できるシステムを開発 - BUILT

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 大成建設は、物流倉庫などで物品保管用として広く使われている可動型保管棚の柱脚部に鋳鉄(ちゅうてつ)の支承を取り付けるだけで免震化が図れる簡易免震システム「TASSラック−スライダー」を開発したことを2021年2月10日に発表した。

震度5強から6強程度までの地震に対して免震効果を発揮

 昨今、頻発する地震災害に備えるため、各企業はBCP対策として、建物の免震化や制震装置の導入など減災対策の検討を進めており、生産施設や物流施設でも、稼働を停止しないために、地震対策技術の開発が行われ、こういった技術の適用が増えている。

 しかし、レイアウトが自由に設置できる可動型保管棚を使用している倉庫などでは、保管棚別の有効な地震対策技術がなかったため、従来建物全体あるいは床全体を免震化するしかなく、ニーズが多くあるにもかかわらず高コストが阻害要因となり、震災に対処することが難しかった。

 そこで、大成建設は、TASSラック−スライダーを開発した。TASSラック−スライダーは、保管棚の柱脚部に鋳鉄支承を取り付け、鋳鉄に含まれる黒鉛の潤滑効果により保管棚を床上で滑らせる機構で地震時の揺れを低減し、積荷の落下被害と保管棚の転倒と損傷を減らす。具体的には、保管物品を含む棚全体重量で2割以上の水平力が作用すると保管棚が滑ることにより、震度5強から6強程度までの地震に対して免震効果を発揮する。

「TASSラック−スライダー」の一般棚タイプ(左)と積み重ねタイプ(右) 出典:大成建設

 使用されている鋳鉄の支承は、一般棚タイプと積み重ねタイプの2種類を用意しており、いずれも保管棚の柱脚に穴をあけ、ボルトなどで固定するだけで装着可能。さらに、低コストでの搭載に応じており、新規だけでなく既存の保管棚にも適用する。

 大成建設は、兵庫県南部地震に相当する震度6強を再現した振動台による実証実験で、TASSラック−スライダーの性能を検証した。結果、未対策の場合は積荷が落下したのに対して、TASSラック−スライダーを配置した保管棚の応答加速度は最大で約40%低減され、積荷のわずかなずれにとどまった。応答加速度は、地震による地表の揺れなどにより、対象となる地点の構造物などが揺れる速度の変化率を指す。

未対策と積み重ねタイプを搭載した可動型保管棚の実験結果 出典:大成建設

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