モナコGPが特別なレースのワケ
ル・マン24時間、インディ500と並んで世界3大レースのひとつに数え上げられるF1モナコGPだ。実は、世界最高峰のレース・シリーズと称されるF1グランプリのなかでも、モナコGPはとりわけ特別な1戦として知られている。 F1グランプリは開催地にかかわらずさまざまなことが共通化されていて、たとえばレース・ウィークの金曜日にフリープラクティスを実施し、土曜日に公式予選、日曜日に決勝レースをおこなうのが通例になっているが、モナコGPだけは木曜日にフリープラクティスを実施する。金曜日は走行がなく、土曜日に公式予選、日曜日に決勝レースをおこなう変則的なスケジュールとなっている。その理由については諸説あるが、結局のところは関係者を1泊でも多く宿泊させてホテルやレストランを潤わせるのが目的といわれる。 F1グランプリの開催サーキットはシリーズを統括する企業に巨額の開催権料を支払うことが義務づけられているものの、これもモナコだけは例外で開催権料が免除されているほか、通常はシリーズ統括企業の収入となる広告料もレース主催者であるモナコ自動車クラブ(ACM)の懐に入る点も通常とは大きく異なっている。 なぜ、それほどまでモナコだけが特別扱いされるのか? その最大の理由は、モナコという開催地自体にあるといっていい。 F1モナコGPが開かれるのは、世界有数の高級リゾート地であるモンテカルロ市内。観客は、サーキット周辺に建つ高級ホテルやハーバーに停めた巨大なヨットからレースを観戦出来る。都市部から遠く離れた僻地に建設されることが多い一般的なサーキットとは、この点が大きく異なる。このため、大切なゲストをもてなすのにモナコは最適とされる。数億円とも数十億円ともいわれる資金を提供するスポンサーを招待するのに、モナコ以上の場所はないのだ。極端な話、モナコがあるからF1グランプリという莫大な資金を要する興行が成り立っているといっても過言ではないのである。 国家元首がレースに必ず立ち会い、ウィナーに直接トロフィーを手渡すのもモナコならではの特色。また、F1世界選手権が制定される以前からグランプリレースが開催されていたという長い歴史を誇る点も、モナコを特別な存在としている理由のひとつだ。
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