IHIは7月20日、IHIエアロスペースが宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国際宇宙ステーション(ISS)向けに開発した極低温冷凍冷蔵庫「FROST2」を、バイオ医薬品の保管・輸送用に応用展開していくと発表した。
「FROST2」は、ISSの「きぼう」日本実験棟でタンパク質や細胞の保管、各実験に使用されている冷凍冷蔵庫で、高性能保冷材と独自の断熱材積層構造のコンテナ、スターリングクーラーと呼ばれる次世代型冷却器で構成されている。
電源に接続することで、温度調節可能な極低温冷凍冷蔵庫として使用できるほか、無電源の状態でもドライアイスを代替する高性能保冷剤によって庫内温度マイナス70℃以下を6時間以上維持することができる。
IHIでは今後、子会社のIHI物流産業システムとともに、同社が得意とする自動倉庫と「FROST2」を応用した保冷技術を組み合わせ、バイオ医薬品の原薬や中間体、細胞医薬品の大量保管・輸送の実現を目指す。
バイオ医薬品はタンパク質や生物由来の物質から生成される医薬品で、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に日本でも開発が加速している。
原薬の保管・輸送にはタンパク質の酵素分解が停止するマイナス60℃以下での管理が求められており、従来は保管・輸送にドライアイスが用いられてきたが、航空法でドライアイスの積載量に制限があるのに加え、近年は脱炭素化の影響でドライアイスの原料が十分に調達できず供給量が減少しており、新たな保管技術や輸送ニーズが高まっている。
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