遺言書保管法の概要
まず、遺言書保管法のアウトラインをご紹介します。 (1)遺言書保管法とは この法律は、高齢化の進展等の社会情勢の変化を鑑みて、「相続をめぐる紛争を防止する」という観点から、法務局において自筆証書遺言を保管できる制度を設けるものです。 (2)遺言書保管法が制定された背景と目的 自筆証書遺言の方式が緩和された 遺言は、遺産の分配方法等に関する被相続人(=死亡した人)の最終意思を明らかにするものです。また、遺言があれば、原則として遺言の内容のとおりに遺産が相続人等へ承継されるので、これにより遺産分割をめぐる紛争を防止するという効果も期待できます。しかし、遺言は十分に活用されていないのが現実です。そこで、遺言の利用を促進するために、2019年1月13日に自筆証書遺言を作成する負担を軽減する「自筆証書遺言の方式緩和」が施行されました(民法968条2項)。これにより、従来は「全文自書」であった方式が、自筆証書に相続財産の全部または一部の目録を添付するときは、その目録については自書することを要しないこととなりました(「自筆証書遺言の方式緩和」について詳しくは「意外と知らない『遺言の書き方』~全文自書ではなくなったけれど…」をご覧ください)。 遺言の内容を確実に実現させる~残しても実現されないことがある 遺言の効力は、遺言者(=遺言を残した人)が亡くなったその時から発生します(民法985条1項)。 ---------- 民法985条(遺言の効力の発生時期) 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。 ---------- 一般に、遺言書の内容が実現されるまで(遺言書作成時から遺言者が死亡するまで)は、ある程度の期間を要します。そのため、その期間内に次のような事態が発生して、遺言書の内容が実現されないということがあります。 ・遺言書を紛失してしまう。 ・相続人等によって遺言書が隠匿・変造されてしまう。 ・相続人等が遺言書を発見しないまま遺産分割が行われてしまう。 等 また、自筆証書遺言は、公正証書遺言のように公証人の関与や証人の立会いは不要で、一人で作成できます。そのため、民法968条が規定する自筆証書遺言の方式に違反した遺言書を残してしまって無効になったり、遺言者の死後に「本当に本人が残した遺言なのか」といった遺言書の真贋をめぐる紛争が相続人等の間で生じる可能性も否定できません。 そこで、自筆証書遺言の方式緩和により作成件数の増加が予測される中、以上のようなリスクを回避して、遺言者の死亡後に、自筆証書遺言の内容をより確実に実現するために、遺言書保管法が制定されました。 (3)保管の仕組み 遺言書保管法によって、次のように、自筆証書遺言を確実に保管し、相続人等がその存在を把握することができる仕組みが設けられています。 (1)保管できる「遺言書」 民法968条によってした遺言(=自筆証書遺言)のみが対象となります(遺言書保管法1条)。 ---------- 遺言書保管法1条(趣旨) この法律は、法務局における遺言書(民法第968条の自筆証書によってした遺言に係る遺言書をいう。)の保管及び情報の管理に関し必要な事項を定めるとともに、その遺言書の取扱いに関し特別の定めをするものとする。 民法968条(自筆証書遺言) 1.自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。 2.前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。 3.自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。 ---------- (2)申請できる「人」 遺言の保管を申請するには、自筆証書遺言を作成した遺言者本人が遺言書保管所に自ら出頭して行わなければなりません(遺言書保管法4条1項・6項)。 ---------- 遺言書保管法4条(遺言書の保管の申請) 1.遺言者は、遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請をすることができる。 (2項~5項略) 6.遺言者が第一項の申請をするときは、遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。 ---------- (3)申請できる「法務局」(遺言書保管所) 自筆証書遺言の保管の申請ができるのは、次のいずれかを管轄する法務局(「遺言書保管所」といいます)です(遺言書保管法4条3項)。 ---------- ・遺言者の住所地 ・遺言者の本籍地 ・遺言者が所有する不動産の所在地 ---------- (4)保管の「方法」 遺言書の保管は、遺言書保管官がその原本を遺言書保管所の施設内において保管します(遺言書保管法6条1項)。 ---------- 遺言書保管法6条1項(遺言書の保管等) 遺言書の保管は、遺言書保管官が遺言書保管所の施設内において行う。 ---------- また、遺言書に係る情報の管理は、磁気デスクをもって調整する遺言書保管ファイルに遺言書の画像情報等を記録することによって行われます(遺言書保管法7条2項)。 (5)保管される「期間」 「遺言書」は、遺言者死亡の日から50年、遺言者の生死が明らかでない場合は、遺言者の出生の日から起算して120年保管されます。 また、「遺言書に係る情報」は、遺言者死亡の日から150年、遺言者の生死が明らかでない場合は、「遺言書」と同じく遺言者の出生の日から起算して120年保管されます(法務局における遺言書の保管等に関する政令5条)。 (6)申請者が「死亡」したら 申請者である遺言者が死亡した後、遺言書保管法9条1項各号に掲げる相続人、受遺者、遺言執行者等(以下「関係相続人等」といいます)は、遺言書保管に対し、遺言書保管所に保管されている遺言書について、遺言書情報証明書の交付を請求することができます(遺言書保管法9条1項)。この遺言書情報証明書で遺言執行の手順を行うことになります。
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July 31, 2020 at 09:01PM
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