デル・テクノロジーズ株式会社は25日、同社のストレージ製品「Dell PowerStore」「Dell PowerMax」「Dell PowerFlex」のソフトウェア新版を発表した。新ソフトウェアは7月より順次提供開始され、追加の費用は発生しない。
デル・テクノロジーズ 上席執行役員 システムズ エンジニアリング統括本部長の藤森綾子氏は、「データが中心の時代となり、マルチクラウドが台頭する中で、さまざまな課題が見えてきた。今回発表するソフトウェア主導型イノベーションでこうした課題を解決する」と話す。
特にストレージで求められている要件として藤森氏は、自動化、セキュリティ、可搬性と管理性を挙げており、新ソフトウェアには「ビルトインAIや自動化を実現する適応性に優れたソフトウェアアーキテクチャと、データのライフサイクルを通してサイバー攻撃へのデータの保護性を高める包括的なサイバーレジリエンス、そしてストレージのクラウド環境下でのコントロールと可搬性を実現するマルチクラウドエコシステムの柔軟性が備わっている」とした。
Dell PowerStore
PowerStoreは2年前にリリースしたストレージで、今回3回目のメジャーソフトウェアアップグレードを迎える。そのPowerStore 3.0では、過去最大規模となる120以上の機能をリリースしており、「混在ワークロードが最大50%高速化し、書き込みが最大70%高速化、コピー動作が最大10倍高速化した。容量は、最大容量が66%増加し、18.8PBまで拡張可能になった」と、デル・テクノロジーズ ストレージプラットフォームソリューション事業本部 システム本部 ディレクターの森山輝彦氏は説明する。
PowerStore 3.0では、「NVMeを拡張し、ホストからスイッチを通してデバイスなどすべてがNVMeのプロトコルで構成できるようになった。その結果、データアクセス性能と柔軟な構成が提供できる。また、100ギガビットイーサネットをサポートしたことで、次世代のストレージファブリックの標準にも対応する」(森山氏)としている。
新バージョンではVMwareとの親和性がさらに向上し、PowerStore ManagerによってVMwareの可視性が高まったほか、vSphereからPowerStoreサービスを直接プロビジョニングできるようになった。また、VMware vSphere Virtual Volumes(vVols)over-NVMe機能をリリース。これまでvVolsの実行には標準的なFCやiSCSIが必要だったが、この機能によってvVolsのワークロードもNVMeのレイテンシーの利点が享受できるようになった。
セキュリティも強化し、ハードウェア内に暗号化の技術を取り入れるHardware Root of Trust(HWRoT)を、PowerStoreとPowerMaxに採用した。これにより、サプライチェーンにまたがってデータ改ざんが行われることを未然に防ぐという。
Dell PowerMax
PowerMaxは、30年以上にわたってミッションクリティカル環境に対応してきたストレージだ。今回、2500および8500という新プラットフォームと同時に、新たなソフトウェアを発表している。
最新版のPowerMaxは、「パフォーマンスが最大2倍向上し、ストレージ密度は最大14倍に、データ削減効率4:1を保証する」と森山氏。また、これまで最小構成は10U以上だったのが、今回から5Uより利用可能となり、「5Uのストレージでもメインフレームアタッチが可能で、IBMメインフレームに対し、データ削減効率3:1を保証する」としている。
最新版では、ランサムウェア対応のストレージモニタリングツール「CloudIQ」との連携も実現。ランサムウェアに攻撃された可能性があることを自動検知し、危険を最小化する。
攻撃や改ざんされたデータを検知した場合は、セキュアスナップショット機能で保護。最大6500万個のスナップショットにより、「常に10分前の状況に戻ることが可能。保存期間までは消去できないスナップショットのため、誤操作によるデータ消去からも保護できる」(森山氏)という。
また森山氏は、「今後ソフトウェアイノベーションを提供する中で重要となるのは、真の意味での無停止アップグレードだ」と述べ、「最大16ノードのPowerMaxであれば、6秒以下でアップグレードできる。コンポーネントのダウンタイムは完全にゼロだ」とした。
Dell PowerFlex
PowerFlexは、ソフトウェア定義型ストレージで、「高いパフォーマンスと拡張性が特徴だ」と森山氏。最新ソフトウェアのPowerFlex 4.0では、ベアメタルおよび仮想化環境において、従来のワークロードとコンテナ化されたワークロードを単一のストレージサービスに統合したほか、フロントエンドプロトコルとしてNVMe-over-TCPをサポート。また、管理ツールのPowerFlex Managerには、新たに統合コンピューティング、ストレージ、システムのライフサイクル管理機能が搭載された。
Project Alpine
さらに森山氏は、テクノロジープレビューとして発表した「Project Alpine」についても触れた。Project Alpineは、PowerStoreやPowerFlex、PowerScaleといったストレージソフトウェアを、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなどのパブリッククラウド上に配置し、データのモビリティを実現するというソリューション。これにより、マルチクラウド環境でのよりシームレスな運用が可能になるという。
「例えば、負荷が高い場合にクラウド上で負荷の代替を求めるといったように、コンテナなどのモビリティを高めることで、ハイパースケーラーの持つ使いやすさをオンプレミスと共に享受する。また、オンプレミス上の価値あるデータを、ハイパースケーラーの提供するアプリケーションサービス上で利用するといったように、ハイパースケーラーとのコラボレーションをより簡単に実現する」と森山氏は説明する。
森山氏は、「デルのストレージソフトウェアへの研究開発投資額は76億ドル以上で、2万6000件以上の特許を取得している。インフラソリューショングループのエンジニアのうち85%はソフトウェアエンジニアだ」として、デルがソフトウェアを重視していることを強調。「変化が求められる時代に対し、デルとしても変化に追随してアジャイルな対応ができるよう努めている。ハードウェアだけでなくソフトウェアを中心とした機能やソリューションを提供し、顧客からの変化する要求に対応していきたい」と述べた。
からの記事と詳細 ( デル・テクノロジーズがストレージ向けソフト新版を発表、機能の強化点を解説 - クラウド Watch )
https://ift.tt/7rgOUVc
0 Comments:
Post a Comment