下諏訪町出身の郷土史家、今井広亀(ひろき)さん(1897~1986年)が縄文時代中期から後期にかけての遺物を生前に集め、保管していたことが分かった。諏訪地域の考古学や歴史学などの研究家らでつくる一般社団法人「大昔調査会」によると、国特別史跡「尖石遺跡」(茅野市豊平)の出土品を含む土器5点。「学術的意義が非常に高く、諏訪の考古学の発展に弾みがつく」としている。
所蔵する今井さんの孫、山田芳子さん(70)=同町大門=が、自宅の土蔵にある遺物を地域に役立てたいと、6月に知人や同会に相談して明らかになった。今井さんが晩年に長女の嫁ぎ先の山田家に同居した際、考古資料を持ち込み、保管されていた。
今井さんは諏訪地方の小中学校で教壇に立つ傍ら、郷土史研究に力を注いだ。「諏訪高島城」の著書があるほか、「諏訪史第4巻」「岡谷市史」「下諏訪町誌」などに携わった。1985年に地域文化功労者として文部大臣表彰を受けている。
遺物のうち、尖石遺跡の「埋設土器」は直径約16センチ、高さ約18センチ。考古学研究者の故宮坂英弌(ふさかず)氏が進めた発掘調査で、30年7月28日に石囲炉(いしがこいろ)の一つで見つかった。57年の発掘調査報告書「尖石」には、今井さんが撮影した埋設土器と炉址の写真、実測図が掲載されている。
下諏訪町高木の殿村遺跡の「顔面把手(とって)」は50年に出土。土器の縁に付ける人面をかたどった装飾で、高さ15.5センチほど。顔だけでなく、手や胴部まで表現されているため珍しいという。
このほか、同町稲荷平遺跡で見つかった「双口土器」と「深鉢形土器」、同町大道下遺跡出土の祭祀に用いたとされる「精製鉢形土器」がある。山田さんは全て寄贈することにしている。
8日、諏訪市博物館で報道陣に向けて公開された。今後は、考古資料群の出土地に当たる関係市町とともに有効活用の在り方を検討していく考え。同会副理事長の三上徹也さん(66)=岡谷市天竜町=は「今井先生の業績を顕彰しつつ、多くの人に見てもらえるように進めたい」としている。
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