Sunday, July 30, 2023

【ベンチャー探訪】コールドストレージ・ジャパン 「移動する冷蔵倉庫」で小ロット物流網 - 産経ニュース

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コールドストレージ・ジャパンの太陽光パネル搭載型トレーラーと後藤大悟代表取締役=5月12日、東京・西新宿

生鮮食品や医薬品などの輸送に欠かせないコールドチェーン(低温物流網)で課題といわれるのが小ロットでの保管・輸送だ。コールドストレージ・ジャパン(CSJ、神戸市)はこれに挑み、「移動できる冷蔵・冷凍倉庫」を製品化。産地から直接、消費地に届ける仕組みづくりを進めている。

CSJは5月12日、東京・西新宿で開催された展示会で、太陽光パネルを搭載して電力を自力で確保できる小型冷蔵・冷凍トレーラーを初披露した。太陽光で発電した電力は軽量リチウムイオンバッテリーに蓄電でき、夜間でも約5時間の連続使用を可能にした。

米特装車メーカー、キープイットコールドの代理店として導入したものを日本仕様に独自開発。牽引(けんいん)免許不要の軽トレーラーとすることで普通乗用車での移動を可能にした。さらに改良を加えたのが太陽光パネル搭載型で、再生エネ事業などを展開するPoCTECH(東京都目黒区)と共同で開発した。倉庫内をマイナス25~5度に保てるため、電力供給が難しいイベント会場や屋外作業現場でも活用できる。

災害など非常時には電力供給源になるほか、避難所の食料や医薬品の保管などにも役立つという。後藤大悟代表取締役は「『コールドチェーンが変われば世界が良くなる』との思いで起業したが、今や確信している」と話す。

現在のコールドチェーンは、巨大消費地に多額を投じて建設した大型倉庫に、産地から冷蔵・冷凍機能を備えた大型トラックで大量輸送する。輸送距離が長くなり鮮度が落ち、廃棄リスクが高まる。流通経路も複雑で非効率だ。

こうした課題を解決しようと、後藤氏は平成30年に起業。目指すは小ロット分散型コールドチェーンで、どこでも冷蔵・冷凍保管できるコンテナ「コールドストレージボックス」を開発した。物流のカギを握るラストワンマイル(消費者に商品を届ける最後の配送区間)に対応するため、高機能保冷剤と輸送用ボックスも用意した。

これにより生産者は産地で鮮度を維持したまま注文に応じて商品を小売店や食卓に届けられる。離島や山間地での小ロット輸送が可能になるため、過疎地での「買い物難民」問題の解決にも貢献。産地から直接発送するため、輸送距離が短縮し、ドライバー不足や二酸化炭素の排出削減にも寄与できるという。

日本仕様に改良したトレーラー「コールドストレージボックスポータブル」は令和4年秋から、イベント会場などで展示しながら、「誰もが手軽に自前の冷蔵・冷凍倉庫を持てる」とアピール。手応えを感じた後藤氏は今春から本格的に商談を開始するとともに、太陽光パネル搭載型で新たな需要を開拓する。コンテナ、トレーラーとも引き合いは増えており、5年10月期は10台、来期は30台の販売を目指している。(松岡健夫)

コールドストレージ・ジャパン 明治10(1877)年創業の総合海運・物流企業(神戸市)の創業家の6代目、後藤大悟氏が独立し、平成30年に創業。小ロット保管・輸送による次世代コールドチェーンの構築を進める。令和4年10月期の売り上げは3600万円だが、物流コンサルティングが約5割を占めた。今期から冷蔵・冷凍コンテナ・トレーラの拡販に注力、来期は1億5千万円の売り上げを目指す。

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