ストレージベンダー各社は、オンラインストレージサービスが一般的に備えている機能や、特定の用途に適した機能をストレージ製品に搭載するようになった。ストレージ製品は今後、どのように進化するのか。複数の専門家の見方を基に見ていこう。
データ共有やコラボレーションのための機能は、ユーザー企業にとってもはや不可欠な機能となっている。その後に注目される要件は何か。
「ユーザー企業は今後、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策や法規制の順守のために、ストレージ製品のガバナンスやポリシーの管理機能をより重視するようになる」。ITコンサルティング会社Silverton Consultingのプレジデントを務めるレイ・ルケージ氏はこう説明する。コンプライアンスに関連する機能が重要になる理由について、「企業は訴訟に巻き込まれた場合に備え、全ての関連資料や情報をそのままの状態で安全に保存することがより重要になる」とルケージ氏は語る。
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市場調査会社のThe Futurum Group でシニアアナリストを務めるデイブ・ラッフォ氏は、「Box」や「Dropbox」いったオンラインストレージサービスが搭載するコラボレーション機能は、ユーザー企業にとっては今や当たり前の存在になりつつあるとの見解を示す。その上でラッフォ氏は、「今後は特定の業界の業務を効率化する機能がベンダーの競争力を高めることになるだろう」と話す。
ラッフォ氏は、ストレージハードウェアの販売からソフトウェアの販売に事業転換した企業として、VAST Dataを挙げる。同社は、データの取り込みとレビューに高速ストレージを必要とする、人工知能(AI)技術の搭載に焦点を当てている。
こうした機能は、ユーザー企業のIT部門や事業部門というよりも、CIO(最高技術責任者)や経営幹部の間でストレージブランドの認知度を高めるために存在している。ITコンサルティング企業Small World Big Dataの創設者でプリンシパルアナリストを務めるマイク・マチェット氏は、このように分析する。「こうしたベンダーの戦略は、ユーザー企業の購入決定者が変化しつつあることを示している」
「最終的に、大企業向けのストレージには人間による監視や管理を最小にするための機能が求められる」と、米TechTargetの調査部門であるEnterprise Strategy Group(ESG)でプラクティスディレクターを務めるスコット・シンクレア氏は見解を述べる。
この背景には、企業でストレージ管理者が不足している実態がある。複雑なストレージインフラを維持する負荷を軽減するためには、オンプレミスインフラだけでストレージの構築を目指すよりも、クラウドストレージを併用した方がよい場合がある。
「企業のIT部門は、解決すべきさまざまな課題を抱えている。ストレージのために人員を割く組織はあまりない。イノベーションを起こすにはまず、どのようにして少人数の人員でストレージを管理できるかを考えることが必要だ」と、シンクレア氏は語る。
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