Tuesday, December 26, 2023

美術品「粗大ゴミ扱い」 大阪府が駐車場で作品保管(7月24日) - 毎日新聞

superselebbanget.blogspot.com
大阪府咲洲庁舎の地下駐車場に置かれた彫刻作品=大阪市住之江区で2023年5月25日、山田夢留撮影
大阪府咲洲庁舎の地下駐車場に置かれた彫刻作品=大阪市住之江区で2023年5月25日、山田夢留撮影

中本泰代・大阪学芸部長が選ぶ5本

 大阪府所蔵の現代美術作品105点が府庁舎地下駐車場で「保管」されていたことが、今年7月の毎日新聞の報道で明らかになりました。記事は、「粗大ゴミ扱い」という関係者の厳しい指摘や、ビニールシートで覆われた作品の写真もあいまって大きな反響を呼びました。美術担当の山田夢留記者と高瀬浩平デスクは「文化をどう守っていくのか」という問題だととらえ、取材を続けています。

 大阪府美術品保管問題の発端は1980年代末にさかのぼります。このころ浮上した新美術館計画に合わせ、府は絵画や版画、写真、彫刻など7885点を収集しましたが、財政悪化を受け2001年に計画を廃止。行き場を失った作品のうち大型の彫刻作品105点が17年から庁舎の地下駐車場に置かれ、ほかにも駅や学校などに長期間展示され劣化が進んだ作品があることが明らかになりました。府は報道を受け、作品を一時的に移転させるとともに、美術の専門家らによる特別チームを設置し、保全・活用についての協議を進めています。

 バブル崩壊という「不運」があったにせよ、その後の作品の扱いはずさん極まりなく、批判を免れません。山田記者の続報によると、府には20年以降、美術専門の学芸員がおらず、長期的視野でコレクションを保全・活用できる体制にありませんでした。美術への、というより、文化そのものに対する行政の姿勢の問題と考えます。

 山田記者と高瀬デスクは大阪府コレクションの行方を注視していますが、関係者らに話を聞く中で、全国の他の美術館もさまざまな課題を抱えていることが分かってきました。収蔵庫が満杯になったり、収集の予算が付かなかったりと、コレクションの保全・継承を巡る状況は曲がり角にあります。12月20日(紙面)の「論点」では専門家3人に、作品を守り残し続けていくための見せ方や発信の仕方などを提案してもらいました。

 美術は一部の愛好家だけのものではありません。ふとした機会に目を留め、心を動かされた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。美術を「私」と地続きのものだと感じ、「なぜ残さねばならないのか。どうやって守っていったらいいのか」と考えてもらえるように、これからも取材を深めていこうと思います。

 中本部長が選ぶ2023年の5本のうち、「美術品を『粗大ゴミ扱い』 大阪府が地下駐車場で105作品保管」を以下で紹介します。
 残りの4本は以下の通りです。
 「歌はタイムマシン」 藤井フミヤに教えた「TRUE LOVE」
 「ブギウギ」モデルが在籍したOSK 令和でも守り続ける歌劇の魂
 「自分たちとは違う」のか? 伝統教団に潜む傲慢さ 瓜生崇さん
 中道が過激化した日本 エリート支配を変えるのは「バカ」の力

 ※ここからがおすすめ記事です。

 大阪府所蔵の現代美術作品105点が、府咲洲(さきしま)庁舎(大阪市住之江区)の地下駐車場で保管されていることがわかった。いずれも彫刻で評価額は計2億円を超える。保管場所には誰でも出入りができ、梱包(こんぽう)されずビニールシートで覆っただけのものもある。劣化と盗難のおそれがあり、関係者からは「粗大ゴミと同様の扱いだ」と憤りの声が上がる。府は苦肉の策だとするが、問題の背景には、作品が時代の変化や行政の施策に翻弄(ほんろう)された経緯があった。

評価額2.2億円 一部はむき出し

 駐車場に置かれているのは「大阪府20世紀美術コレクション」(約7900点、評価額計約46億円)の一部。府によると、彫刻作品105点の評価額は計約2億2000万円になる。

 そのうち、関西の抽象彫刻をリードした森口宏一(1930~2011年)の作品が約60点を占める。代表作「景の仕組」シリーズなど、鉄やステンレス製で大型の作品が多く、最大一辺約8メートルのものもある。この他、府が90~01年に開催した国際コンクール「大阪トリエンナーレ」の受賞作で、海外作家の作品も多く置いているという。

 記者は今年5~7月、3回にわたり現地を確認した。大阪湾にほど近い咲洲庁舎地下3階の駐車場。約30台分のスペースに作品が置いてあった。木箱で梱包されているものと、されていないものがあり、一部はビニールシートがめくれ、むき出しだ。同じスペースには、不要になった備品や廃棄物とみられる段ボール箱が雑然と置いてあった。

 美術作品の収蔵とはかけ離れた有り様だ。なぜこんなことになってしまったのか。

年間数千万円の予算なく

 直接的なきっかけは、府による行財政改革だ。府文化課によると、作品を地下駐車場に置くようになったのは17年。咲洲庁舎低層階の事務室内で保管していたが、府の行財政改革の一環で、ビルへ民間施設の入居を進めることになり、事務室を明け渡すよう求められた。庁舎内で保管に使える場所を探したが、地下駐車場しかなかったという。

 美術作品は通常、温湿度が一定に保たれた収蔵庫に入れる必要がある。同課は鉄素材のものなど温湿度の変化に影響を受けにくい作品ばかりだと説明する。地下駐車場は雨や直射日光は避けられるが、作品の真上を走る配管から水漏れが発生…

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 美術品「粗大ゴミ扱い」 大阪府が駐車場で作品保管(7月24日) - 毎日新聞 )
https://ift.tt/lf9TE4O
Share:

0 Comments:

Post a Comment