e.MMC(embedded Multi Media Card)は、NANDフラッシュメモリとメモリを制御するコントローラーをワンパッケージ化した小型ストレージ製品です。本稿では、e.MMC 5.1デバイスが提供するセキュリティ機能について紹介します。
» 2024年07月02日 10時30分 公開
e.MMC(embedded Multi Media Card)は、NANDフラッシュメモリとメモリを制御するコントローラーをワンパッケージ化した小型ストレージ製品です。効率性、実装面積や信頼性への要求が厳しさを増す小型機器の分野において、広く採用が進んでいます。e.MMCは基板に直接はんだ実装するストレージであるため、複雑な基板配線やレイアウトが求められる用途においてデータストレージの省スペース化に貢献しています。また、貴重なデータが保存されたストレージを簡単に取り外して持ち去られたり、不正なプログラムがインストールされたストレージに交換されたりすることはありません。
一方で、簡単に交換できないからこそ、不正アクセスやデータ漏洩(ろうえい)を防ぐ強固なセキュリティ機能が必要となります。本稿では、e.MMC 5.1デバイスが提供するセキュリティ機能について紹介します。
JEDECによって仕様が定義されたe.MMC 5.1規格は、NANDフラッシュメモリと専用コントローラーを組み合わせ、データへの効率的なアクセスと保存を実現します。専用コントローラーを統合することで、これまでホストCPUが担っていたウェアレベリング、エラー訂正、不良ブロック管理といった複雑な管理をストレージ側で対応し、ホストCPUの作業負荷を軽減できることが大きな特徴です。
最新規格のVersion 5.1では、高速インタフェースHS400を採用した最大400MB/秒データ転送、応答性を効率化するコマンドキューイング、ホストの要求に対応するパーティショニングなどの機能が新たに搭載されています。これらの機能はCPUの負荷を軽減しパフォーマンスを向上させるだけでなく、効率的なデータ処理によってエネルギー消費量の節減にも寄与します。
こうした特長からe.MMC 5.1デバイスは、シングルボードコンピュータや医療機器、産業用ロボットに至るまで、幅広いアプリケーションで利用されています。これらアプリケーションの多くは機密性の高い情報を扱うためセキュリティ保護が不可欠です。
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