98回目の開催を目前に控えた、東京箱根間往復大学駅伝競走。2022年1月2日、3日の箱根路で21チームの激戦が繰り広げられる。各チームの戦力を、たゆまぬ努力でメンバー入りを果たそうとしている「たたき上げ」の選手を中心に紹介しよう。
東海大学
第97回箱根駅伝(前回大会):総合5位
9年連続、49回目
Key person of the TEAM:松崎咲人
3大会前の箱根駅伝王者が、苦しんでいる。
今季の学生三大駅伝、東海大学は出雲駅伝で9位、全日本大学駅伝は12位に終わった。両角速監督が東海大の監督に就任して以来、出場した出雲駅伝はすべて5位以内だったが、今回は大きく順位を落とした。全日本大学駅伝は前回2位だったが、今回はシード権を失った。
あまりにも大きな落差は、衝撃的だ。
東海大が鬼塚翔太、館澤亨次ら「黄金世代」を擁し、箱根駅伝を制したのは2019年の第95回大会だった。8区・小松陽平が金栗四三杯を獲得する走りで東洋大学を逆転し、大手町で両角速監督が宙を舞った。就任8年目で、初めての箱根駅伝総合優勝だった。
続く第96回大会は、4年生の「黄金世代」と3年生の「三本柱」(塩澤稀夕、名取燎太、西田壮志)が融合し、優勝候補の筆頭に挙げられたが、青学大の前に屈して総合2位だった。そして、前回大会は「三本柱」が軸となり、ルーキー・石原翔太郎が力を発揮したが、総合5位に終わった。
「ゼロから作り直す」はずが想定外の事態
大会後、両角監督はこう語った。
「この1、2年はスター選手揃いだったので、本来であれば地道にやらないといけない選手たちが影響されていった。私自身も浮ついた感じがあったので、これからは地に足をつけてやらないといけない。次は『黄金世代』も『三本柱』もいないですし、ゼロから作り直すチームだと思います」
強い選手たちを失う怖さはあっただろうが、それでも両角監督の表情は暗くなかった。それは、入学してくる1年生や、中間層の選手の成長に期待が持てていたからだろう。
ところが「育成の年」と位置付けた今季、東海大は想定外の事態に見舞われた。
期待していた1年生の多くが、入学時に故障を抱えていたのだ。今季の駅伝シーズンを勝ち抜くには、ルーキーたちの力が不可欠だった。中間層も結果を出せず、チームはなかなか波に乗れなかった。
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