愛知県の女性から暗号資産(仮想通貨)「ビットコイン」2億円超をだまし取ったとして、愛知・愛媛両県警の合同捜査本部は29日、電子計算機使用詐欺の疑いで、愛知県春日井市、エステ業岡本好美容疑者(52)ら男女3人を逮捕した。また、このビットコインを保管する口座を用意したとして、詐欺や犯罪収益移転防止法違反の疑いで、松山市、無職山内勇喜容疑者(37)と東京都品川区、会社役員松岡泰樹容疑者(31)ら男6人を逮捕した。
愛知県警サイバー犯罪対策課によると、9人はビットコインの送金や口座の開設など役割を分担。スマートフォンの暗号資産管理アプリ「モバイルウォレット」を不正に操作し、女性のビットコインを別の口座に移し替えたとみられる。女性と岡本容疑者はビットコインの投資セミナーで知り合っていた。
他に電子計算機使用詐欺容疑で逮捕されたのは、春日井市、会社員片岡大(46)と同市、自動車販売業針山則宏(46)の2容疑者。3人の逮捕容疑は共謀し、昨年2月19日、同市の女性(65)の管理する2億2500万円相当のビットコインを自分たちの管理する暗号資産口座に不正に送金し、だまし取ったとされる。
このほか山内容疑者ら2人の詐欺での逮捕容疑は、共謀して昨年2月12日、普通預金口座と暗号資産口座を銀行などに申し込み、開設したとされる。松岡容疑者ら4人の犯罪収益移転防止法違反での逮捕容疑は、共謀して昨年3月5日、これらの口座を計10万円で譲り受けたとされる。合同捜査本部は女性のビットコインが、岡本容疑者ら3人が管理する暗号資産口座を介してこれらの口座に送金されたとみて、ビットコインの流れを調べている。
合同捜査本部は9人の認否を明らかにしていない。
◆資産動かすための「暗号」が抱えるリスク
電子データで取引される暗号資産は、交換業者によるインターネット上での管理から、スマートフォンのアプリによる個人管理に変わってきている。
一般社団法人・日本暗号資産取引業協会によると、2020年度の国内の取引総額は約118兆円で、16年度の33倍超となり、急速に普及している。
暗号資産の管理を巡っては、18年に交換業者「コインチェック」(東京)から580億円相当が流出。サイバー攻撃を受け、同社が管理する暗号資産が不正に送金された。
こうした状況を受け、20年には信頼性の高い管理を義務付けた改正資金決済法が施行。ウイルス感染対策がされた各自のスマホなどで管理する形が定着した。
モバイルウォレットはスマホの中で、パスワードである「暗号鍵」を管理するため、安全面に優れ、暗号資産が流出しにくいとされる。スマホを紛失した際には予備の暗号である「リカバリーフレーズ」を入力すれば、別のスマホでもアプリを使える。
一般的にリカバリーフレーズは、英数字の羅列ではなく、10個以上の単語の組み合わせで構成される。県警によると、容疑者らは、この暗号を何らかの方法で盗み取ったとみられる。
立命館大情報理工学部の上原哲太郎教授(情報セキュリティー)は「スマホで暗号資産を管理すれば安心というわけではない」と強調する。「銀行口座アプリなどが普及し、スマホで金を動かすことが当たり前の時代になった。多額の金を管理している場合、リカバリーフレーズのような暗号は紙に印刷して金庫で保管するなど対策を徹底してほしい」と呼びかけた。
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