東京電力福島第一原発で増え続ける汚染水から取り除いた放射性物質の汚泥(スラリー)の保管場所が満杯に近づいている。保管できなくなれば、汚染水の処理にも影響する。東日本大震災の発生から12年。廃炉作業の前提が崩れかねない事態だ。
フェンス越しに、ダムのような巨大なコンクリートの壁が立っていた。高さ7・7メートル、幅は30メートル近くある。奥行きは100メートル以上あるという。
福島第一原発1~4号機の南側の高台にある「使用済み吸着塔一時保管施設」。1月下旬、東電社員は「この箱の中にあるのがHIC(高性能容器)で、その中身がスラリーです。処分方法が決まるまでは、しばらくここで保管することになります」と説明した。
東電によると、スラリーは、多核種除去設備(ALPS〈アルプス〉)で汚染水から取り除いた放射性物質を含んだ泥状の廃棄物。HICはそれを入れる容器で、表面は1時間あたり10ミリシーベルトを超えるものもあったという。5時間ほどで原発作業員の年間の被曝(ひばく)限度に達する値。放射線を遮蔽(しゃへい)するコンクリートの箱の中で保管する必要があるという。
東電は増設を進めるが...
HICはここ1年、2日に平均1基ほどのペースで増加。3月2日時点のHICは4143基。保管容量(4192基)の98%以上に達している。この春にも満杯になるおそれがあったが、東電は4月末までに保管場所を192基分増設し、なんとか回避できるという。東電はその後も順次増設し、4720基までは今確保できている場所で保管できると説明。早くても2026年4月ごろ、対策がうまくいけば27年6月ごろまでは満杯を避けられるとしている。
だが、現在の想定では、海洋放出前に基準を満たしていない汚染水を再びALPSに通すことによる増加分は考慮されていない。発生量はより増える可能性があり、増設作業が滞った場合も、満杯時期は早まる。
しかも、それ以上の増設が必要なら、保管場所を確保できるか不透明だ。HICの保管場所がなくなれば、汚染水の処理が滞る。
保管場所逼迫の背景にあるのは、東電の「誤算」「見通しの甘さ」です
誤算のもとは、スラリーを脱…
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